AWS re:Invent 2023 アダム・セリプスキーCEOのキーノートまとめ

「AWS re:Invent 2023」で、Amazon Web Service のCEO Adam Selipsky氏のキーノートスピーチが行われました。

このイベントは、AWSの最新動向を学び、共有する場として、世界中から多数の参観者を集めました。技術者、開発者、ビジネスリーダーが一堂に会し、AWSの新技術とサービスに関する多くの発表に注目しました。

今回はアップデート内容をかいつまんでご紹介いたします。

 

 

Amazon S3 Express One Zone

Amazon S3 Express One Zoneは、Amazon S3 の

新しいストレージクラスです。このサービスは、特に頻繁にアクセスされるデータや遅延が許されないワークロード向けに設計されており、以下の特徴を持っています

  • 高性能と低遅延:S3 Express One Zoneは、特に高速なデータ処理が必要とされるワークロードに適したクラスで、データを高性能なコンピューティングリソースの近くに配置することで、一桁ミリ秒のレイテンシーが提供されます。最速のストレージとなっており、S3の標準ストレージの10倍高速です。
  • コスト効率:データの処理速度が向上することで、コストも最大60%削減することが可能です。高性能な分析を必要とするワークロードで、データアクセスコストもS3標準ストレージに比べて50%低く抑えられます。
  • カスタマイズ可能な配置場所:顧客は、自分の高性能コンピューティングリソースに最も近い場所にデータを配置することができます。これにより、遅延を最小限に抑えることが可能になります。

 

AWS Graviton4

AWS Graviton4は、AWSが開発した独自サーバープロセッサです。このプロセッサは、以前の世代であるGraviton3を大きく上回る性能とエネルギー効率を実現しています。

以下、主な特徴とメリットです。

  • 性能向上: 前世代のGraviton3と比較して平均30%の性能向上を実現しています。特にデータベースアプリケーションでは40%、Javaアプリケーションでは45%のパフォーマンス向上が見込まれています。
  • コアとメモリの増強: Graviton3と比較して50%多くのコアと75%多くのメモリ帯域幅を提供します。これにより、より多くのデータを高速に処理する能力が向上します。
  • 省エネルギー性能: Graviton4は、同等のEC2インスタンスと比較して、60%少ないエネルギーで同じレベルのパフォーマンスを提供します。これは環境への影響を減らすだけでなく、運用コストの削減にも寄与します。

 

AWS Trainium2

AWS Trainium2は、AWSによって開発されたカスタム機械学習トレーニングチップです。このチップは、特に大規模な基盤モデル(Foundation Model)のトレーニングを目的として設計されており、以下のようなな特徴とメリットがあります。

  • 高性能なトレーニング: Trainium2は、第一世代のTrainiumチップと比較して最大4倍パフォーマンスが向上しています。この高速化は、特に大規模なモデルや複雑なデータセットを使用するトレーニングにおいて重要なポイントになります。
  • 大規模なモデルのサポート: Trainium2は、数百億から数兆のパラメータを持つ基盤モデル(Foundation Model)のトレーニングに最適です。これにより、より高度なAIモデルの開発と実装が可能になります。
  • コスト効率: Trainium2は、高性能でコスト効率の良いトレーニングソリューションを提供するため、トレーニングコストを削減しながら、より大きなモデルやより複雑なトレーニングタスクに取り組むことができます。
  • エコシステム統合: 既存のAWSサービスやツールとシームレスに連携しながら、Trainium2を活用することができます。
  • 将来的にEC2インスタンスで提供: AWSは、Trainium2を使用したEC2インスタンスの提供を予定しており、これにより顧客はTrainium2をクラウド上で直接利用できるようになります。

 

Amazon Q

Amazon Qは、新しい生成AIアシスタントサービスです。以下のような特徴を持っています。

  • ビジネス専門家としての設計: Amazon Qは、ビジネスに関する迅速で正確で関連性の高い回答を提供します。このAIアシスタントは、企業固有の情報に基づいてカスタマイズされ、セキュアでプライベートな方法で回答を提供します​
  • 豊富なナレッジ: Amazon Qは、AWSに関する17年分の知識に基づいて訓練されており、AWSの管理コンソール、ドキュメントなどで使用が可能です。これにより、AWSのベストプラクティスやソリューションについて学ぶことができます​​。
  • トラブルシューティング機能: Amazon Qは、Lambdaなどのエラーやネットワーク接続問題のトラブルシューティングを行い、問題解決の提案を行います。これにより時間の節約と作業効率の向上が期待されます​​。
  • カスタマイズ可能なアクション: Amazon Qは、JIRAでのチケット作成、Slackでの通知、ServiceNowでのダッシュボード更新など、様々なアクションを自動化します。アクションは事前に検証することが可能で、実行後には結果へのリンクが提供されます​​。
  • プライバシーとセキュリティ: ユーザーのデータは完全に保護され、Amazon Qはこれを外部と共有することはありません。
  • データソースの統合: Amazon Qは、S3、Salesforce、Microsoft、Google、Slackなど、40以上の人気ビジネスアプリケーションやサービスに接続し、これらからのデータをインデックス化してビジネスに関する知識を蓄積します。これにより、企業固有の情報を活用してより関連性の高い結果を提供することができます​​。
  • 開発者向け機能: Amazon Qは開発者向けにも機能を提供し、コードの生成やアプリケーション機能の追加を自動化することができます。

 

まとめ

S3やGravitionなどのインフラサービスからAI系まで多数のアップデートがありました。

AWS re:Inventは日本時間11月28日~12月2日まで続きますので引き続き新しいアップデートに期待です。

AWS re:Invent 2023 | Amazon Web Services (awsevents.com)

 

この記事を書いた人

髙橋 和輝
髙橋 和輝
テクニカルマーケターとして、新技術の検証、ブログ執筆、セミナー講師を行っております!
学生時代はアプリ開発に興味がありましたが、インフラ、セキュリティ事業を経て、現在はクラウド屋さんになっております。
コロナ禍前は、月1で海外旅行にいくなどアクティブに活動していましたが、最近は家に引きこもってゲームが趣味になっています。

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