タカラスタンダードが見積提案システムのパフォーマンス課題を3カ月で解決

タカラスタンダード様AVD導入事例

(左より)
タカラスタンダード株式会社
管理本部 情報システム部 執行役員 情報システム部長
樋爪 康久 氏

タカラスタンダード株式会社
管理本部 情報システム部 インフラ基盤グループ長
課長 久保 康之 氏

タカラスタンダード株式会社
管理本部 情報システム部 インフラ基盤グループ
上本 直樹 氏

社外パートナー用システムのパフォーマンス向上
自走まで支援
管理者の運用負荷軽減
タカラスタンダード様ロゴ

企業名:タカラスタンダード株式会社

1912年(明治45年)5月30日に創業し、大阪市を拠点に、キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ、給湯器、ホーロー壁装材など、総合住宅設備機器を製造・販売。長期ビジョンとして「ホーローと共に、光り輝く魅力ある企業へ」を掲げ、連結売上高は2115億円(2022年3月期)、連結従業員数は6298名(2022年3月末現在)。全国に155ヵ所の支店・営業所、17ヵ所の工場、163ヵ所のショールームを展開する。

課題/目的

  • 代理店様や販売店様(以下、社外パートナー)が利用する見積提案システムのパフォーマンス面で課題を抱えていた
  • 仮想デスクトップシステムを社外パートナー向けの見積提案システムで活用することを発案するも知識やノウハウがなかった
  • 社外パートナーや海外パートナーへ活用を推進するなかで、パソコンの設定などITに詳しくないタカラスタンダード 営業担当者がパートナーをフォローすることで負担が増していた

効果

  • Azure Virtual Desktopを社外パートナー向けシステムとして活用、パフォーマンス課題を解消し、海外パートナーも快適に利用できるようになった
  • 日商エレクトロニクスが持つ豊富なAzure Virtual Desktopのナレッジのもと顧客の意図を汲みながら、スピーディな導入と自走までの支援を行なった
  • 仮想デスクトップの特性を生かし、一括での管理を実現、運用負荷を軽減するとともに、海外パートナーへのサポートも拡充させた

代理店や販売店向けに展開していた見積提案システムのパフォーマンスが課題に

1912年の創業以来、世界初となるホーローキッチンの開発や日本初のステンレス一体成型ユニットバスの開発など、水まわりの専業ベンダーとして日本国民の衣食住を支えてきたタカラスタンダード(以下、タカラ)。「ホーローと共に、光り輝く魅力ある企業へ」を長期ビジョンに掲げ、ホーローを中心とした同社の強みを追求し、独自性の高い技術や商品、サービスを通じて、世の中に安心・安全で質の高い暮らしを提供する企業を目指している。

ホーローはキズや汚れ湿気に強いという特性がある一方、デザイン面に弱点があった。そんななかタカラは高精細で多彩なホーローのインクジェット印刷技術の開発に成功し、ホーロー製品を展開。市場から高く評価されるようになった。ITシステムも同様で、独自性の高さを生かした顧客向け、パートナー向けサービスを開発・提供してきた。代理店、販売店向けに提供している見積提案システムもその一つだ。管理本部 情報システム部 執行役員 情報システム部長 樋爪 康久(ヒヅメ ヤスヒサ)氏は、こう話す。

「見積提案システムは、ノートPCやタブレット型PCからキッチンや浴室向け商品を自由に組み合わせて見積りが作成できるシステムです。店頭やショールームで販売スタッフがお客様の要望を聞きながらタブレットで提案したり、営業担当者が適切な価格を見積もるためにPCで情報を検索したりします。商品点数は数千件を超えることもあるため、システム化することでお客様のニーズに素早く対応できます。お客様との関係を強化することはもちろんですが、営業部門におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)といった私たち自身の新しい取り組みを推進するうえでもカギになるシステムです。」(樋爪氏)

だが、社外パートナーへ展開するなかで、パフォーマンス面で課題に直面するようになったと言う。画面の起動に時間がかかり担当者がストレスを感じるようになってしまったのだ。この課題を解消したのが、日商エレクトロニクスが構築を支援した仮想デスクトップサービス「Azure Virtual Desktop」だった。

樋爪氏 コメント:
日商エレクトロニクスさんとさまざまな取り組みを進め、お客様の価値を高める提案をしていきたいと思います。

久保氏 コメント:
システム構成や運用体制は、日商エレクトロニクスさんのサポートがなければ実現できなかったと思います。

パフォーマンス課題を「Azure Virtual Desktop」の「応用」で解決

タカラが直面したパフォーマンス課題について、管理本部 情報システム部 インフラ基盤グループ長 課長 久保 康之(クボ ヤスユキ)氏は、こう話す。

「社外パートナー向けに展開する見積提案システムは、社内の営業担当やショールームアドバイザーが利用するシステムをベースに開発されており、多くの商品やバリエーションを選択できるようになっているため、システムを起動した際に大量のデータをダウンロードする仕様となっています。社外パートナーがインターネット経由で利用する場合には、ダウンロードや更新時にネットワーク回線の影響を受けやすいという課題がありました。」(久保氏)

社外パートナーが利用できるように約7年前にインターネットを経由してアクセスできるように改良した。国内の代理店、販売店および東南アジアなどホーロー人気の高い海外パートナーからアクセスするケースも多い。

「見積提案システムを利用いただいている社外パートナー様は約260社ですが、利用が拡大するにつれ『起動に時間がかかる』『商品をセットし終わった後に更新する時間が長い』という声を数多くいただくようになりました。特定の画面を更新する際にはインターネットの回線が影響するため、20〜30秒、海外からは2~3分かかっていました。」(久保氏)

同社の強みである「多くの商品やバリエーション」を選択できるようにしたままで、レスポンスの問題を根本的に解決するためには、システムアーキテクチャの見直しのみならず、アプリケーション開発そのものを見直す必要があり、非常に困難である。そんな時にマイクロソフト関連のイベントで知ったのが、仮想デスクトップの「Azure Virtual Desktop」の「応用」だった。

「社外パートナーからはクラウドに置いた仮想デスクトップにインターネットでアクセスし、仮想デスクトップから社外用APサーバーにアクセスする構成にすれば、クライアントからの通信はクラウド上で完結します。Azure Virtual Desktopを応用すれば、既存のアーキテクチャのままレスポンスを大きく改善できるのではないかとひらめいたのです。」(久保氏)

ハンズオンから環境の検証、本番リリースまで実質3ヵ月で実現

もっとも、(当時の)久保氏は、Microsoft Azureで既存システムの移行を検討し始めた頃で、Azure Virtual Desktopに関しての知識が少なく、さまざまなWebサイトで調べてみても、一般的なユースケースである「社員が利用する仮想デスクトップの利用」といったものであり、欲しい情報はほとんど得られなかったという。

「私自身、半信半疑なところもありました。そこでマイクロソフトに『その道のプロを教えてほしい』と相談したのです。すると『Microsoft AzureやAzure Virtual Desktopに強いパートナー』として紹介されたのが日商エレクトロニクスさんでした。私たちの狙いもすぐに理解してくれ、ハンズオンセミナーを開催いただきました。」(久保氏)

これまでに前例のない使い方を想定する中での不安や懸念、疑問について、本当に実現できるのか、忌憚なく本音をぶつけた。日商エレクトロニクスは、それをしっかり受け止めたうえで、レスポンスよく答えを返したという。

「そこで『いける』という確信に変わったのです。」(久保氏)

久保氏とともに、Azure Virtual Desktop導入に携わった管理本部 情報システム部 インフラ基盤グループ 上本 直樹(ウエモト ナオキ)氏は、日商エレクトロニクスの技術力やサポート力の高さをこう評価する。

「技術的な知見やノウハウを持っていることはもちろん、対応スピードが速く、私たちの意図を汲んだ提案をすぐに行ってくれたことが印象的でした。ハンズオンセミナーの開催から本番環境の構築までは約1週間。2022年7月の正式リリースまで実質3カ月ほどしかかかっていません。その間、さまざまなトラブルにも遭遇したのですが、的確なアドバイスのおかげでスムーズに解決できました。例えば、セッションホストを増やす方法をレクチャーして頂いたり、中国語などを入力できるようにするための言語設定でとまどったときに、日商エレクトロニクスさんの環境で検証を行ったうえでアドバイスをしていただいたりしました。私たちが自走できるようになるまで寄り添って支援いただいたのです。」(上本氏)

日商エレクトロニクスが行ったアドバイスは、ネットワーク構成から、Microsoft Azureのサービスとの連携、仮想マシンの起動数、シングルセッションとマルチセッションの組み合わせパターン、マルチセッションによる同時接続数の設定などまで、多岐にわたるものだった。

タカラスタンダード様AVD構成図

上本氏 コメント:
今回のプロジェクトでのパフォーマンス改善は特に海外パートナーの方に大変喜んでいただきました。

2〜3分の処理が15秒に短縮、見積り作成件数は前年比2倍に増加

見積提案システムは現在、オンプレミスとAzure上のAzure Desktop Serviceを組み合わせて提供する仕組みとなっている。社外パートナーからのアクセスはMicrosoft Azure上で稼働するAzure Virtual Desktopを利用し、データセンターに設置されたオンプレミスの社外用APサーバーにアクセスする仕組みだ。既存データセンターとMicrosoft Azure間はAzure ExpressRouteを使って構内接続されており、安全性と高速性を実現している。

こうした構成により、既存のシステムに手を加えることなく、高いパフォーマンスと信頼性を実現した。久保氏のアイデアを日商エレクトロニクスの技術力とサポート力でかたちにしたわけだ。

「現在は、マルチセッション3台という構成で約300ユーザーがアクセスできる環境です。見積りの作成はさまざまな拠点で、一時的に並行して行われます。クラウドのリソースを活用することで、効率良く処理を分散させながら、パフォーマンスを高めることができています。こうしたシステム構成や運用体制は、日商エレクトロニクスさんのサポートがなければ実現できなかったと思います。」(久保氏)

新しい見積提案システムはリリース直後から驚くような効果を挙げている。定量的な効果としては「2〜3分かかっていた特定の処理が15秒に短縮」「見積り作成件数が前年比2倍に増加」「サポート工数の削減」「クラウドを活用したITリソースの効率的な利用」などがある。特に大きいのが、レスポンスの向上により、ビジネススピードが高まったことだろう。上本氏は、こう話す。

「インフラ基盤の部分は「使えて当たり前」ということもあり、ユーザーから評価されることが少ないものですが、今回のプロジェクトは別でした。中国のパートナーにご説明したときも現地の担当者が大変喜んでくれました。Web会議の画面越しに日本語で『めっちゃ速いよ』『これなら見積りがたくさん作れるよ』と直接感謝を伝えられたときは素直に感動しましたね。」(上本氏)

また、社外パートナー向けのサポート工数については、リモートからの集中管理が可能になったことで劇的に改善した。

「以前は、初期設定や不具合対応にタカラスタンダードの営業担当者が対応しており、ITに詳しくないためにあきらめてしまうケースや何度も現地に行って対応するケースが多かったのですが、Azure Virtual Desktop導入後は、情シスの管理者側からリモートでVMに入って設定を見ることができるようになったので、対応から解決までのスピードが速くなったのです。」と、上本氏はパフォーマンスの向上だけでなくサポートスピードの向上も導入効果であることを強調した。

今後は、Azure Virtual Desktop の利用拡大を図りつつ、Microsoft Azureへのシステム移行も進めていく予定だ。樋爪氏は「Microsoft Azureに強いパートナーとして、日商エレクトロニクスさんとさまざまな取り組みを進め、お客様の価値を高める提案をしていきたいと思います」と展望する。

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