Microsoft WVDとAmazon Workspacesの6つの違いを解説
DaaS導入を検討されている方の多くが、Microsoft 「Windows Virtual Desktop」とAmazon 「Workspaces」を比較検討されております。 実際に比較をしてみるとVDIやクラウドのスペック、価格などに大きな差はないので「どちらがいい」と判断するのはなかなか難しいですよね。 そこで、本ブログでは比較する際のポイントとなる、OSやライセンスの違いなど6つの違いについて纏めてみました。
- WVDとAmazon Workspacesで比較をしている
- それぞれにどんな特徴があるのか知りたい
- 自社環境に合うDaaS選定のヒントが欲しい
上記のような方は、ぜひ本ブログを参考にしてDaaS選定のヒントをつかんでいただければと思います!
※なお、本記事は2020年9月15日に開催したWindows Virtual Desktop体感セミナーの内容をまとめたものです。詳細については、オンデマンド動画にて提供しておりますので下記をご参照いただければと思います。
>>Windows Virtual Desktopを体感できるデモ付き オンデマンド動画
1.Windows Virtual DesktopとWorkspaces
Windows Virtual Desktop(WVD)は、2019年にMicrosoft社が発表したパブリッククラウドのAzure上で仮想デスクトップ(VDI)を提供するサービスです。Amazon WorkspacesはパブリッククラウドのAWSから仮想デスクトップ(VDI)を提供しますが、 Microsoft Windows に加え Amazon Linuxのデスクトップ環境を利用できるのが特徴です。 両製品ともにデスクトップ環境をクラウドのサーバーから提供する、いわゆるDesktop as a Service(DaaS)と呼ばれる分野のサービスとなります。
>>(参考)Windows Virtual Desktop (WVD)とは!MicrosoftのDaaSがついに公開︕︖
2.WVDとWorkspacesの6つの違い
早速ですが、WVDとWorkspacesの違いについて解説していきますね。
今回は下記の6つの視点から比較してみました。
①利用できるOSの違い
②配信方法の違い
③移動プロファイル管理の効率の違い
④アプリケーションの配布の違い
⑤ユーザー接続方法の違い
⑥2要素認証の違い
それでは順番に見ていきましょう。
① 利用できるOSの違い
Windows Virtual Desktop(WVD)はWindows10やWindows7に対応しているためWindowsクライアント環境がそのまま使え、Windows10アプリはほぼ利用できます。
マルチセッションに対応しており、アップデートは半期チャネルのみです。Windows7はESUが3年間無償で提供されています。
一方で、Amazon Workspacesではユーザー画面ではWindows10の表示がされていることがありますが、実際に動いているのはWindows Serverなのでご注意ください。Linuxにも対応可能となっております。しかし、Microsoft Edgeが一部入っていない、office365アプリは入っていない等の制限があるので注意が必要です。もし、Workspaces上でOffice365のアプリケーションを利用されたい場合は、別途ライセンス購入が必要となりますのでご確認ください。
Amazon Workspacesのバージョン表示
Amazon WorkspacesでWindows10 と表示されていても、
実際に見てみるとWindows Server2016で動いていることが分かる。
ココがポイント!!
ユーザーが利用するアプリケーションの対応OSについて確認しておきましょう。
例えば、AdobeのアプリケーションはWindows 10上では動きますが、Windows Serverには対応していない。なんてこともあります。
また、Windows 10 上で利用する場合と、Wndows Server上で利用する場合ではライセンス形態が異なるアプリケーションもございます。自社で利用しているアプリを洗い出し、確認しておくことをオススメいたします。
Windows Virtual Desktop(WVD)とAmazon Workspacesでそれぞれ利用できるWindowsライセンスの違いについては下記にて解説しているので、こちらもどうぞご参照ください。
>> Azure/AWSの DaaS 費用比較~Windowsライセンスの考え方~
② 配信方法の違い
Windows Virtual Desktop(WVD)はプール型(デスクトップ配信)・プール型(アプリケーション配信)・専有型(デスクトップ配信)の3つの配信方法を選択することが可能です。ユーザの利用用途によって使い分けることができます。
配信方法
例えばあまりアプリケーションを利用しないユーザー向けにはプール型、パフォーマンスが必要なユーザーには占有型で提供する…という形でユーザー属性に合わせることが可能です。
一方のWorkspacesは現在のところ、専有型(デスクトップ配信)のみに対応しています。
③ 移動プロファイル管理の効率の違い
Windows Virtual Desktop(WVD)はFSLogisを使用したプロファイルコンテナ方式を採用しています。専用ディスクにプロファイルを描き出しローカルディスクとして利用可能であり、起動速度も高速になります。
Amazon Workspacesはファイルサーバを利用した移動プロファイル方式を採用しています。しかし、サイズ肥大化によってパフォーマンスが低下してしまう可能性があります。
ココがポイント!!
企業でよく利用されているOneDriveやBOXなどは、移動プロファイル方式をサポートしておりません。 既存の環境で対応している方式について確認しておきましょう。
④ アプリケーションの配布の違い
Windows Virtual Desktop(WVD)では2020年秋現在、パブリックレビューの段階ですが「App attach」という機能があります。こちらはWindows Virtual Desktop(WVD)のコントロールパネルに取り込まれている機能で、展開済みのWindows10 に対してアプリケーションを追加することができます。
Amazon Workspacesの場合は、「Amazon Workspaces Application Manager」という機能にて、展開した仮想マシンに新たにアプリケーションを追加するなど配信・管理することができます。しかし、こちらはまだ日本リージョンでは非対応の状況ですので導入する際は最新情報を確認しておきましょう。
アプリケーション配布
パブリックプレビュー中 日本リージョン非対応
⑤ ユーザー接続方法の違い
Windows Virtual Desktop(WVD)、Amazon Worksapaces共に専用アプリケーション/Webクライアントが用意されております。
Windows Virtual Desktop(WVD)の場合はさらに、ローカルPCのスタートメニューの中にWVDへ接続するためのリンクを埋め込むことが可能です。ユーザーからするとWindows のアプリケーションに統合されているように見えるので、シームレスに接続できて利便性も良いかと思います。
接続のイメージ
専用アプリ/Webクライアント 専用アプリ/Webクライアント/スタートメニュー
⑥ 二要素認証の違い
セキュリティの観点で多くの企業様あら求められる機能の1つは二要素認証です。
Windows Virtual Desktop(WVD)ではAzure Active Directoryと連携して利用することができます。Azure Active Directoryでは二要素認証の機能が標準で提供されているためポリシーを適用するだけでSMS、電話、アプリケーションを利用した二要素認証の活用が可能です。また、費用に関してもWVDで利用するコンポーネントのみで構成できるため簡単で追加のお金がかかりません。
Amazon Workspacesの場合にはRADIUSサーバーなど、要素認証用に別コンポーネントを独自に準備する必要があります。構成自体が難しく、別のソリューションをサードパーティーで用意する必要があります。
二要素認証の構成
Azure Active Directoryの二要素認証 別コンポーネントを独自に準備
3.参考:Teamsがサクサク動くのはWVD
普段のWeb会議にてTeamsをご利用の方の場合は、DaaSを選定するうえで「Teamsの最適化」についても抑えておきたいポイントです。通常、VDI上で動画を流したりビデオ会議をする場合、仮想マシンの容量をひっ迫させ動作が落ちてしまうこともあります。
Windows Virtual Desktop(WVD)上でTeamsを利用する場合には、「Teamsの最適化」ができることにより動画をローカルPCのCPU/GPUを使って通信できます。よって、パフォーマンスを落とすことなく快適にTeamsでWeb会議が可能となります。
Teamsの最適化について、詳細を知りたい方は下記のブログも参照してください。
>> Windows Virtual Desktopでウェブ会議Teamsを動かす
実際にWVD上でWeb会議をしてみましたが、スムーズな会話ができました!
ちなみに、2020年秋現在、Teamsの最適化はパブリックプレビュー中です。利用自体は可能となっていますが、現時点では最適化に対応しているのは Windows 10 向けのデスクトップクライアントアプリのみです。また、Teams でいくつかの機能が未サポートなので、使い勝手は十分に確かめましょう。
4.まとめ
簡単にですが、Windows Virtual DesktopとAmazon Workspacesの違いについて、6つの視点で比較してみました。お客様が利用しているアプリケーションなど環境にもよるので、どちらが良いとは言い切れませんが、Office365アプリやTeamsでのWeb会議、Windows 10 の環境でのご利用を想定している場合はWindows Virtual Desktopの方が利便性やコストメリットは高くなるかもしれませんね。
Windows Virtual Desktopの導入に関してご検討中のお客様はぜひ、弊社までご相談いただければと思います!お問合せ
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