VDIとリモートデスクトップ(RDS)の違い【企業担当者向け】

リモート環境を導入するうえで、VDIやリモートデスクトップの導入を検討する組織も多くあることでしょう。
しかしどちらを実際に導入するかを決めるうえで、両者の区別がはっきりしないということも多くあるのが実情です。
そのためこの記事では、VDIとリモートデスクトップ(RDS)の違いについて整理します。 それぞれどんな組織に適しているのかも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。



1.VDIとリモートデスクトップ(RDS)の違い

ここではまず、VDIとリモートデスクトップの違いについて整理して説明します。

仮想デスクトップ(VDI)とは

VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure(仮想デスクトップ)」の略です。
クライアント機にOSやアプリケーションを置かず、パソコンのデスクトップ環境をサーバー側に集約させて、サーバー上で稼働させる仕組みのことを言います。
サーバー上に仮想基盤を構築し、使用者数に合わせて個別に分割して割り当てるのが特徴です。
クライアント機では画面の操作や入力などの作業のみを行い、データの処理や保存は基本的にサーバー側で行います。

メリットを整理すると以下のようになます。
<VDIのメリット>
●クライアント機にデーターがほとんど残らないため、クライアント機の紛失や盗難時にも情報漏洩の可能性が低い
●セキュリティ対策をクライアント機ごとに行う必要がなく、管理者が一元的に管理できる
●接続する端末や場所に依存せず自由に使用しやすい

リモートデスクトップ(RDS)とは

リモートデスクトップは「Remote Desktop Services」の略であり、仮想サーバーを使用者全体で共有する方式です。
ローカル機ごとに個別の環境を構築するワケではないため、人数分の準備が不要になります。
利点を整理すると以下のようなものになります。
<リモートデスクトップのメリット>
●環境の準備が最小限で済むため、比較的コストで使用できる
●ネットワーク環境を一括管理できるため、管理コストが低い
●同じ環境を共有するため、共同作業型の業務には適している

VDIとリモートデスクトップ最も異なる点

VDI_リモートデスクトップ_最も異なる点

両者の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

VDI リモートデスクトップ
(RDS)
概要 使用者毎にVMを構築 サーバーOSを全使用者が共有
リソース消費 比較的大きい 比較的小さい
アプリの使用形態 使用者ごと 主にサーバーOS
拡張性 比較的低い 比較的高い
ライセンスコスト 複数のOSライセンスがいるため、比較的高い サーバーOSのみで済むため、比較的低い
ストレージコスト VMの数だけ必要なため、比較的高い サーバー台数のみであるため、比較的低い
全体的なコスト 比較的高い 比較的低い

最も異なる点は、仮想マシン(VM)の使用方法です。

VDIは使用者ごとにVMを構築しますが、リモートデスクトップはサーバーOS上にあるVMを全使用者で共有します。
VDI環境は各使用者ごとに個別で準備されており、各使用者に管理者権限を与えることが可能です。
ストレージが仮想マシン分だけ必要となるため、コストは比較的高くなる傾向がありますが、高いセキュリティが要求されるケースはVDIが適していると言えるでしょう。

一方のRDSは準備を最小限に抑えることができるためコストパフォーマンスに優れています。
ストレージやCPU、メモリへの負荷が少ないため、1台のハードウェアで多くの複数の使用者に対応できるのです。

2.自社導入でVDIが向いている場合

ここでは、自社導入にVDIが向いているケースについて解説します。

使用するユーザーに合わせた作業環境を用意したい場合

VDIは、ユーザーに合わせた作業環境を準備したいケースに適しています。
ユーザーに合わせた作業環境とは、使用者ごとに高度な設定や専門的なアプリケーションをインストールできる環境のことです。
VDIであれば使用者自身にアプリケーションのインストール権限を与えることができるため、使用者ごとに作業環境を準備したいケースに最適でしょう。

社内に持て余しているハードウェア資産を活用したい場合

社内に持て余しているハードウェア資産を有効活用したいケースにも、VDIは適しています。
ハードウェア資産とはPCやサーバー、USBメモリやネットワーク機器そのモノのことです。
VDIは仮想基盤を分割して使用するため、物理的な制約を請けずに社内資源を有効活用することにつながります。
例えばサーバーなどはほとんど有効活用できていない組織も多く、導入することで最大限有効活用することが可能となるでしょう。

こちらの記事も参考にしてみてください。
DaaS 導入の6つメリットを解説 DaaSとVDIの違いは? >>

 

3.自社導入でRDSが向いている場合

ここでは、自社導入にリモートデスクトップが向いているケースについて説明します。

VDIとは異なり使用するユーザーが一定の場合

業務上使用するOSやアプリケーションが使用者間で一定のケースは、RDSの方が適していると言えます。
仮想環境が一つであるため管理がしやすく、作業環境が使用者間で一定のケースはRDSを選択した方がメリットが大きいのです。

なるべく費用を抑えたい場合

RDSは、なるべく費用を抑えたいケースにも適しています。
ライセンスを個別に購入することが不要のため初期費用がかからず、ストレージもサーバー台数だけ準備すれば良いため低コストです。
アプリケーションのインストールも端末ごとには不要であり、低コストで速やかな導入が可能であると言えるでしょう。

4.まとめ

VDIもRDSもVMをサーバー上に構築する点では共通していますが、VDIは使用者ごとにVMを構築する一方でRDSはサーバーOS上にあるVMを使用者全体で共有します。
そのため使用者ごとに高度な設定や個別のアプリケーションを導入したいケースや、社内の機器などの物理的なリソースを有効活用したいケースなどに最適です。
RDSは使用者間で同一の仮想環境が理想的なケースや、費用を抑えたいケースなどに有効でしょう。
自社の状況や目的に応じ、適切な方法の導入を検討しましょう。

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Azure導入支援デスク 編集部
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