失敗事例で学ぶ VDI 導入前後のハマりどころと落とし穴 Part2

VDI 導入前の落とし穴について説明しております。VDI の成功のポイントは「現状把握」をしっかりと行うことが、快適なVDI環境へと繋がります。

セキュリティの強化やディザスタリカバリー対応、ワークライフバランスの改善などを目的に、仮想デスクトップインフラ(VDI)を導入する企業が増えています。しかし、「導入成功事例」を参考に相見積もりを取って慎重に検討したにもかかわらず、スムーズに動作せずイライラしたユーザーからのクレームが押し寄せた……という残念な話も耳にするようになりました。

前回公開したPart 1に続き、ここではVDI 導入後の落とし穴を公開します。

「IOPS が重要」とハコモノを追加提案されるケースにご用心

VDI の動作を左右するのがストレージ性能、すなわちIOPSです。VDI 導入後のレスポンス改善のため、安易に「IOPS 改善のため、ハイエンドのストレージシステムを導入しましょう」と提案してくるSIer は珍しくありません。しかし、IOPS の数字だけにとらわれ、アセスメントを行わないままでは、無駄な投資に終わってしまう恐れがあります。

表面的にはI/O 性能が問題と見えても別のところに真因が潜んでいることが多いのです。よく見ていくと、メモリ不足でスワップファイルへの書き込みが増えていたり、CPU の割り込み処理が増えてコンテキストスイッチが多数発生していたりして膨大なI/Oが発生して処理が遅くなっているケースもあります。確かにストレージを追加すれば表面的な問題は解消されますが、根本原因の解決ではありません。

アプリケーションの使い方や運用方法に原因があることも少なくありません。中には、「自分たちで作ったVDI のマスターイメージに、デフラグのような不要なサービスを盛り込んでしまったことに気付かず、運用していたケース」もあります。

オンラインゲームも!?「一般ユーザーのリソース利用状況」を侮ることなかれ

実際のVDIの使用状況を計測してみると、導入企業の想定と現実に大きな隔たりがあることが多々あります。

『事務担当者はライトユーザーだから、そんなにリソースはいらない』という声をよく聞きますが、実際の現場は、想定外の過酷な使い方をしているケースが多いのです。使うアプリを全て常駐させて使っている場合は事務業務であっても負荷はヘビーになります。他にも、オンラインゲームでリソースを消費しており想定外の問題が発覚したケースもあります。

誰がどんなアプリケーションを利用しているかを把握し、リソースの最適化だけでなく、移行対象アプリケーションの選定やライセンス管理の最適化を考えなければなりません。

VDI の成功は、「精度の高い現状把握」がポイント

Part 1、Part 2とVDIの導入前後の落とし穴について記載していますが、結局のところ、VDI の成功のポイントは「現状把握」です。

とはいえ予算などの都合上、安価なシステムで「見切り発車」的な導入を選択せざるを得ないケースもあります。たとえそうなるにしても、導入後の環境をモニタリングし、その情報をもって拡張計画を立てていくことが重要です。さもなければ“ 安物買いの銭失い” になりかねません。ネットワークなど他のIT 投資に比べると、VDI は費用対効果が見えにくいです。だからこそ、事前に性能値や目的を明確にすることが重要なのです。

Part 1、Part 2と2回にわたってVDI 導入前後のハマリどころと落とし穴について公開しました。「現状把握」は当たり前のことのように思いますが、これが中々できていないのが現状です。失敗事例になってしまわぬよう、心に留めておいていただけたらと思います。

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