VDI/DaaSのメリットと選ぶときのポイントは?おすすめ製品もご紹介

ワークスタイルの多様化によって、VID(仮想デスクトップ)やDaaSの導入を検討する企業が増加しています。

しかし「複数のサービスがあって選ぶポイントが分からない」「仮想デスクトップを導入するメリットが知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、下記の内容について、詳しくご紹介します。

●VDIとDaasの特徴
●製品を選ぶときのポイント
●おすすめのVDI

これからVDIを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.DaaSはVDI(仮想デスクトップ)を導入する1つの方法

DaaSはVDIを導入する1つの方法

VDI(仮想デスクトップ)とはVirtual Desktop Infrastructureの略称で、PCのデスクトップを仮想化するシステムのことです。

VDIが導入されている場合、利用者は端末からネットワーク経由でサーバー上の仮想デスクトップを操作します。

普段使用しているアプリケーションやデータはサーバーで集約管理されています。そのため、端末とインターネット環境が揃っているだけで場所を選ばずどこでもデスクトップにアクセスできるとのメリットがあります。

また、デスクトップ環境をサーバー上に集約して稼働させる仕組みとなっているため、サーバーに人数分のデスクトップを用意し、個々がそれぞれ異なったデスクトップ環境を使用することも可能です。

他にも、PCごとに必要だったソフトの更新やトラブル対応などをサーバ側から行えるだけでなく、各自のメンテナンスなどの作業も不要となり、管理・使用側どちらの負担も軽減することが特徴です。

一方DaaS(ダース)はDesktop as a Serviceの略称で、クラウド環境に展開されたデスクトップ仮想化システムのことです。

クラウド環境を構築する場所によって大きく3種類に分けられ、利用したいサービスやコストによって自社に合ったものを選択できます。

●プライベートクラウドタイプ:企業が独自に構築、自社内のみ
●バーチャルクラウドタイプ:サービス事業者が構築、自社内のみ
●パブリッククラウドタイプ:不特定多数の企業が同じ環境を利用

VDIとクラウドを使用してデスクトップ環境を提供するサービスがDaaSと考えると分かりやすいのではないでしょうか。つまり、DaaSはVDIを導入する1つの手段と言えます。

2.VDI・DaaSを選ぶときのポイント

VDI・DaaSを選ぶときのポイント

ではVDIやDaaSを選ぶ時は、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

ここでは導入検討時に確認したいポイントについてご紹介します。

ツールごとの違いを把握する

まず気をつけたい点が、割り当て方法や作成方法の違いです。

VDI・DaaSのような仮想デスクトップは、2つの割り当て方法と2つの仮想マシン作成方法の組み合わせにより自社に最適な環境を作成できます。

作成方法は、フルクローン方式とリンククローン方式に分けられます。

フルクローン方式は、個別の仮想デスクトップを独立した形で形成する方法です。

仮想デスクトップの数だけ容量が必要となる他、バージョンアップも個別に行う必要があります。

一方リンククローン方式はOSなどの共通分を共有するので、ストレージの消費量を抑えられることが特徴です。

●フルクローン方式:それぞれの仮想デスクトップを独立した形で形成
●リンククローン方式:OSなどの共通部分を共有

割り当て方法には、専用割り当て方式と流動割り当て方式の2種類があります。

専用割り当て方式は1人に1つの仮想デスクトップを割り当てられる方法で、カスタマイズの自由度が高い特徴です。

流動割り当て方式は仮想デスクトップとユーザーが固定されていない方法で、ユーザーはログイン時に空いている仮想デスクトップを割り当てられます。

流動割り当て方式はオフィスのフリーアドレスのようなイメージで、専用方式に比べストレージの消費を抑えられるとのメリットがあります。

●専用割り当て方式:ユーザーに対し固有のデスクトップ
●流動割り当て方式:ログイン時に空いている仮想デスクトップを割り当てる

導入する形態を把握する

ツールごとの違いを把握したら、次は導入形態を確認しましょう。

VDIの導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。

オンプレミスとは自社内のデータセンターでシステムを運用する形態のことで、カスタマイズがしやすいことが特徴です。

一方クラウド型には、IaaS(イアース)やPaaS(パース)が挙げられます。

IaaSは仮想化技術を利用してサーバーやネットワークなどのITインフラを提供するサービスのことです。そして、PaaSはアプリケーションを実行するためのプラットフォームやITインフラをインターネットを介して提供するサービスのことです。

例えば、マイクロソフト社が手がけるクラウドサービスAzureのAzure Iaasでは、パーツを組み合わせることでデータセンターの拡張を簡単に行うことが可能です。

導入時に必要なものを確認する

最後に、導入時に必要となるものを確認しておきましょう。

導入時に大変重要となるのがネットワーク環境の整備です。

VDI導入後の失敗例として、始業時など多数のユーザーが同時にVDIを立ち上げることでネットワーク環境に負担がかかり業務を開始できないとのケースがあります。また、特定の端末でレスポンスが低下するような事例もあります。

ネットワーク環境の整備と合わせて、周辺機器やアプリケーションの対応確認も必要です。

3.VDI・DaaSの4つの導入効果

VDI・DaaSの導入効果

VDIやDaaSの導入には、セキュリティ強化・コスト削減・複数のワークスタイル対応・トラブル対応の主に4つのメリットがあります。

業務負担軽減になる

VDIやDaaSには、場所や端末を選ばず接続できるメリットがあります。

デスクトップ環境がサーバーやクラウド上にあるため、外出先や自宅などからも利用できる他、端末が変わっても通常と同じ環境を利用できます。

特に便利なシーンは、端末を紛失したり故障してしまった場合です。

端末を交換するだけで元の状態に戻せるので、端末管理やヘルプデスクなどの業務負担も大幅に軽減できることが特徴です。

端末の紛失や盗難へのセキュリティ強化

仮想デスクトップは端末に作業データが残らないため、端末の紛失・盗難時にも情報漏洩のリスクを抑えられます

また、基本的にクラウドサーバー上にデータを保管するため、データの持ち出しが難しくなるメリットもあります。

最近では、セキュリティ強化を目的として金融機関や自治体を中心にVDIを応用してネットワーク分離が行われるケースも多くなっています。

これはセキュリティレベルが高いシステムを外部から完全に分離させつつ、利便性を確保するために行われているもので、VDIは情報の機密性が高い企業への導入もおすすめです。

働き方が多様になる

VDIは同じデスクトップを複数の端末から利用できるため、テレワークや在宅勤務などの多種多様な働き方に対応できることも特徴の1つです。

PC以外にもタブレットやスマートフォンからのアクセスも可能で、在宅勤務用に高スペックのPCを用意する必要もなく、使用している端末と仮想デスクトップのOSが異なっても問題ありません。

多様な働き方をカバーしつつ、セキュリティリスクも抑えられることがVDIのメリットです。

災害対策や被害復旧につながる

災害発生時に端末に被害が出ても、VDIシステム基盤が無事であれば災害前のデスクトップにすぐに戻ることができ、素早く業務を再開できます。

またサイバー攻撃により仮想デスクトップが被害を受けても、マスターイメージから被害前の状態に復旧することで迅速な業務再開が可能になります。

4.おすすめの2つのDaaS

最後に、おすすめのDaaSをメリットや費用と合わせてご紹介します。

① Azure Virtual Desktop(AVD 旧 Windows Virtual Desktop)

2019年にマイクロソフト社より発表されたDaaSです。Daaのメリットは下記のようなものがあります。

●Windows10とマルチセッションが利用可能
●多要素認証による高いセキュリティ
●関連企業との連携(パートナーエコシステム)で拡張が可能

この中でも注目は複数ユーザでWindows10を同時利用できることです。

1つの仮想マシンで複数のユーザーが使用できるため、クラウドの利用コストや運用コストが大幅に削減できるとのメリットがあります。

例えば、50ユーザーを導入する場合を考えてみましょう。

Windows10の場合は1ユーザあたり月額6,578円、Windows10マルチセッションの場合は1ユーザあたり月額5,675円で利用可能です。(稼働時間:12時間/日、20日/月)

 

② VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure

仮想化ソフトウエアの販売や開発を手がけるVMwareがMicrosoft Azureに特化して提供するデスクトップ配信サービスです。

Microsoft Azureのメリットは下記のようなものがあります。

●独自の画面転送技術で遅延化を防止
●アップデート間は無停止で作業可能
●使い方に合わせたプランでコスト削減可能
●海外拠点にも展開できる

上記のAVDとは主にライセンス形態の違いがあります。

AVDの場合、Windows10を保有していればMicrosoft Azureの利用料金だけで利用できるのに対し、VMware Horizon Cloud on Microsoft AzureはVMwareのライセンスとMicrosoft Azureの利用料金の2つが必要になります。

契約するスペックによって差があるものの、ライセンス1ユーザで3年契約の場合、月額11,121円で利用可能です。

5.まとめ

この記事では、VDI・DaaSについてポイントやメリットも合わせてご紹介しました。

双方とも場所や端末を選ばずにいつものデスクトップを利用できることが特徴で、災害時の他、現在広まっているワークスタイルの多様化にも対応可能です。

VDI・DaaSの導入には、セキュリティ強化・コスト削減・複数のワークスタイル対応・トラブル対応など多数のメリットが存在します。

仮想デスクトップを導入して、その便利さを実感してみてください。

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