SQL ServerとAzure SQLの違いとは?
メリットとお得な移行方法を紹介

SQL ServerとAzure SQLの違い

DXの進展を背景に「クラウドファースト」が今後の方向であることが鮮明になってきました。事実オンプレミスのSQL ServerをAzureへ移行する検討を始める企業様が増えてきています。特にEOS(サポート終了)が迫っているSQL Server 2012ユーザーは切実です。とはいえAzure SQLとSQL Serverの違いやAzureへの移行方法がわかりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。そこで本ブログでは、SQL ServerとAzure SQLの違いを明確にし、Azureへ移行するメリットと移行方法をわかりやすく説明します。

・SQL Serverのクラウド移行を検討している
・Azure SQL移行のメリット・デメリットを知りたい
・既存のSQL Server のEOS対策をしたい
・SQL ServerからAzureSQLへお得に移行する方法を知りたい

このような方はぜひ本ブログをご参考ください!

1. SQL ServerとバージョンごとのEOSについて

SQL Serverとは、マイクロソフト社が開発したRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)です。RDBMS製品としては、世界的に見てOracle、MySQLなどと並ぶシェアを誇っており、特に日本企業ではかなり普及しているRDBMSです。
普及している理由(特長)は、大きく以下の4つだと考えられます。

① GUIによる直観的な操作性で初心者にも使いやすい
② Windowsとの相性が良く、開発環境が整っている
③ マイクロソフト社によるSQLの独自拡張であるTransact-SQL(T-SQL)の機能が強力
④ システム規模や用途に合わせて豊富なエディションが用意されている

オンプレミスで利用している場合には、EOSについてユーザーがしっかり把握しておく必要があります。下表に現在提供されているSQL ServerのEOSをまとめます。

 

製品名 サポート終了日
Microsoft SQL Server 2012 2022年7月12日
SQL Server 2014 2024年7月9日
Microsoft SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse 2026年3月31日
SQL Server 2016 2026年7月14日
SQL Server 2017 2027年10月12日
SQL Server 2019 2030年1月8日

この中で、SQL Server 2012 に関しては、EOSが近づいているので対応が必要です。まだ準備されていないユーザー企業様で、今からバージョンアップ対応が難しい場合には、オンプレミスからAzure に移行すれば、当面の間(最大3年間)、無償のセキュリティパッチが適用されます。

SQL Server 2012 最大3年間の無償セキュリティパッチを適用する方法(資料はこちら)

 

2. Azure SQLとは?SQL Serverとの違い

Azure SQLとは、Azureクラウド上でSQL Serverデータベースエンジンを使用したRDBMSマネージドサービスの総称です。その形態は3種類あります。

 

Azure SQLの種類

 

① Azure VM上のSQL Server
Azureのフルマネージド仮想マシン(IaaS)上でSQL Serverを実行する形態です。
SQL Serverワークロードを簡単に移行(リフト&シフト)したい場合に最適です。SQL Serverとの完全な互換性とOSレベルでのアクセスが維持できます。

② Azure SQL Managed Instance
①が既存のSQL ServerワークロードをほぼそのままAzureに移行するのに対して、こちらは既存のアプリケーションの機能は残しながら、内部をクラウド向けに最新化する形態です。フルマネージドのPaaS型のサービスです。

③ Azure SQL Database
②同様フルマネージドのPaaS型サービスですが、サーバーレスコンピューティング等クラウドネイティブな機能を提供するサービスとなっています。既存アプリケーションの移行よりも、新規アプリケーションの構築プラットフォームに向きます。

たとえば既存のアプリケーションのコードを変更したくないとか、OSレベルのアクセスが必要なことがわかっていれば、Azure VM上のSQL Serverが唯一の選択肢になります。

既存のアプリケーションの最新化が目標で、Azure PaaSの機能をフルに活用したい場合には、Azure SQL Managed Instanceが向いています。既存アプリケーションを少し変更するだけで簡単にインスタンスレベルの機能を利用できるようになります。

「クラウドネイティブ」と呼ばれるクラウドに特化した最新のアプリケーションを一から構築したり、断続的なワークロードを自動的に一時停止・再開したりするなどの柔軟性が求められる場合には、Azure SQL Databaseが最適な選択肢です。

3つの形態のどれか1つに統一する必要はなく、ワークロードの性質や移行目的に応じて使い分けることができます。

SQL ServerとAzure SQLの違い
SQL Serverがオンプレミス上、すなわちユーザー責任でマネジメントする必要のあるRDBMSであるのに対して、Azure SQLはクラウド上で提供されるフルマネジードのRDBMSサービスであることです。またワークロードの性質や移行目的に応じて3つの形態が用意されていることもAzure SQLの大きな特徴です。

3.SQL ServerをAzure SQLに移行するメリットとデメリット

オンプレミスのSQL ServerをAzureに移行するにあたって、移行先別にメリットとデメリット等を表にまとめました。なお「移行」がテーマとなりますので、アプリケーションの新規構築に向く「Azure SQL Database」は移行先から外しています。

移行先 Azure VM上のSQL Server Azure SQL Managed Instance
稼働イメージ Azure IaaS上のVMのミドルウェアとして稼働 Azure PaaSのSQL Databaseとして稼働
メリット 現状オンプレミスで稼働しているSQL Serverと同じ運用が可能 SQL Serverの管理が不要(バックアップ、可用性など)

低コスト化

デメリット SQLの管理・運用が必要 OS/Hypervisor/VMの自動管理

(ユーザーがバージョン管理できない)

移行後の費用 移行特典にてセキュリティパッチ適用 IaaSより安価に利用可能

移行特典にてセキュリティパッチ適用

移行方法 データ移行ツール

DBのバックアップ/リストア

データ移行ツール

DBのバックアップ/リストア

●Azure VM上のSQL Serverに移行する場合

・メリット
オンプレミスと運用方法を変える必要がない

・デメリット
Azure VM上のSQL Serverへの移行は簡単ですが、SQL Serverの運用管理はユーザー側の責任でそのまま残る

●Azure SQL Managed Instanceに移行する場合

・メリット
SQL Serverの管理(バックアップ、障害対応、キャパシティ管理等)が全く不要
運用コストを削減

・デメリット
OS、Hypervisor、VM等のバージョンをユーザーが選択できなくなる

以上のように移行するメリットとデメリットがそれぞれありますが、コスト面については、オンプレミスよりもユーザー側の運用管理範囲が確実に狭まりますので、低く抑えられる可能性が高くなります。事実、独立の調査会社であるGigaOm社が最近公開したレポートでは、以下のように結論づけられています。

・ Azure Virtual Machines上のSQL Serverは、競合製品よりも最大3.6倍高速で、コストは最大84%低くなる
・ Azure SQL Managed Instanceは、競合製品よりミッションクリティカルな要件を満たし、コストは競合製品よりも最大86%低くなる。

他社のクラウドでなく、SQL Serverと同じマイクロソフト社が提供するAzureへの移行ということで生じるメリットもあります。ハイブリッド特典と呼ばれるもので、既存のオンプレミスのWindows ServerとSQL Server のライセンスをクラウドで使用することで、Azureのコストを大幅に削減できるものです。さらに1年間あるいは3年間の予約購入で、最大72%の予約割り引きが適用されます。

また前述しましたが、SQL ServerをAzure に移行すれば、拡張セキュリティ更新プログラムの対象となり、最大3年間無償のセキュリティパッチが適用されます。

 

4.SQL ServerをAzureSQLに移行する流れ

SQL Serverに限らず、オンプレミスに構築したシステムをAzureに移行する手順は共通しています。大きく6つのステップを踏むのがセオリーです。

① 現状把握

アセスメントツールを利用して、移行対象の仮想マシンを検出し、リソース使用状況を把握します。このステップで集めるべき情報の例を表にまとめました。

カテゴリ 項目
既存サーバー環境 ハイパーバイザーの種類、バージョン
仮想マシン台数
CPU、メモリ、ディスクサイズ要件
他のサーバーとのネットワーク依存関係
可用性、冗長性
メンテナンスウィンドウ
通信・ネットワーク帯域
必要なネットワーク帯域
IPアドレス(変更可能かどうかも含む)
セキュリティ
ファイアーウォール
アンチウィルス
サーバーOS OS種類、バージョン、パッチレベル
アプリケーション サポートベンダー
その他・運用での注意点など OSアップグレード可否、Azure エージェント追加可否

 

② 移行先選定

システムの実現性とコストの観点からクラウドでの実装方法を選定します。SQL Serverの移行で問題になるのは、Azure VM上のSQL ServerとAzure SQL Managed Instanceのどちらを移行先にするかです。

選定基準については前述しました。一言でいえば、リホスト(リフト&シフト)ならばAzure VM上のSQL Server、リファクタリング(システムの最新化・効率化)であればAzure SQL Managed Instanceを選択します。

③ 設計

クラウドでの実装方法を設計します。仮想マシンやネットワークはもちろん、認証、セキュリティ、運用管理等を含めた全体像を検討します。またAzureにはリソースオーガナイゼーションという機能があり、ユーザーやリソースに適切なタグ付けをすることで運用管理の負荷を大幅に軽減することができます。移行前に検討しておくと良いでしょう。

移行ツールを利用することで移行作業の負荷が大幅に削減されますので、それらについても設計段階で考慮しておきます。Azureでは、以下の無料移行ツールが用意されています。

・ Azure Migrate
移行対象のオンプレミスデータベースを評価して、SQL ServerをAzure VM上に移行する

・ Database Migration Service
ダウンタイムをほぼゼロに抑えて大規模なクラウドへの移行を実現

④ 検証

先行して一部の仮想マシンをテスト移行し、動作確認をします。同時に移行の作業手順が最適かどうかを評価し、不具合を修正して、本番用の移行手順書をまとめます。

⑤ 移行

すべての移行対象を移行手順書に基づき、必要であれば移行ツールを用いてAzureの本番環境へ移行します。

⑥ 運用

Azure環境で本番運用します。オンプレミス同様、ガバナンス適用を忘れないようにします。

5.無償サービスを活用してSQL Serverをお得に移行する方法

上述したAzureSQLに移行する流れの中の、現状把握から移行までのフェーズにおいては2021年11月現在マイクロソフト社より支援金がでるためお得に進めることができます。

●Azure移行の流れを実際に体験する(無償)

〈Azure 移行ハンズオンセミナー〉
Azure移行の考え方に加え、オンプレミス環境をAzureへ移行する際の流れ、押さえておきたいポイントを学ぶことができます。さらに、後半では実際にAzure環境へお客様ご自身でログインいただき、Azure Migrateを活用した移行前の評価から実際の移行までを実行していただけます。Azure資格保有しているエンジニアが手助けいたしますので、安心してAzure 移行を体感いただけます。

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●現状把握・移行先の選定・コスト試算をする(支援金対象)

〈Azure移行適正診断サービス〉
オンプレミスで稼働しているシステム(SQL Serverなど)を棚卸し、結果をもとにした移行経過案や、コスト試算をご提出します。Azureへの移行可否と必要なコストが分かりますので、納得したうえでAzure移行するか判断することができます。
また移行計画案も出すので、初めてのAzure移行も安心です。

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6.まとめ

SQL Server 2012のEOSが来年に迫っているという理由だけでなく、DX推進等の理由でSQL ServerをAzureに移行することを検討している企業様も多いのではないかと思います。

Azure SQLはワークロードの性質や移行目的(リフト&シフト、最新化、クラウドネイティブな開発)によって3種類の形態が用意されているので、ほとんどの企業様の要望にかなった移行が可能と言えます。

また他社クラウドへの移行では考えられない様々な特典やツールが用意されており、コスト削減や確実な移行の実現といった観点からも有利な選択となっています。

SQL Serverに限らず、Azureのサービス内容、ユーザー特典、ツール類等は日々更新されていますので、詳細は弊社担当営業にお問い合わせいただければと存じます。

 

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SQL Server のAzure移行の流れ

なお、今回ご紹介した内容は下記の資料に詳細を記載しております。
具体的な導入の流れや費用など知りたい方は、ぜひこちらの資料も参考にしてください。

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この記事を書いた人

Azure導入支援デスク 編集部
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