今回は弊社とお取引のある流通系、金融系のお客様と共に最新テクノロジー視察のため、2018年11月29日~12月7日の10日間、米国にて企業訪問のご案内をいたしました。滞在期間中にはマイクロソフト本社の他に、VMware本社や、サンフランシスコのスタートアップ企業にも訪問しました。
特にマイクロソフトを中心とした最新テクノロジーや、今後の動向をキャッチすることで、お客様のビジネス戦略に対して貢献できるソリューションの判断やご提案に役立たせることが目的でした。



米国マイクロソフト本社訪問

マイクロソフト本社は、ワシントン州シアトル近郊のレドモンドにあります。シアトル・タコマ国際空港から車で40分ほどの場所です。広大なキャンパスで、その広さは東京ドーム 43 個分もあるそう。マイクロソフトはビル・ゲイツ氏とポール・アレン氏により、75年にニューメキシコ州アルバカーキで創業、79年には、シアトルとレドモンドの中間にあるベルビューに移転し、86年に、現在の本社があるレドモンドに移転してきました。

今回は、日本マイクロソフトが主催する「マイクロソフト本社 EBCツアー」にお客様と一緒に参加してきました。EBCとは、Executive Briefing Centerの略で、世界中のお客様を迎え、デモや様々なプレゼンテーションを行う場所です。
EBCツアーは3日間にわたります。1-2日目は、マイクロソフトEBC施設にて最新ソリューションの紹介を受け、3日目にマイクロソフト データセンター訪問がありました。
EBCの建物は広大なマイクロソフトキャンパス内のひとつの施設としてあります。複数の部屋が用意されており、施設内にはAzureを使用した事例を体験できるブースもありました。ボーイング社、トヨタ自動車などAzure のAIを使用した事例が展示されています。

マイクロソフト本社施設の入り口の様子

EBC施設内でのプレゼンテーションの様子

ロールスロイス社 IoT事例の紹介

マイクロソフト本社があるシアトルは、ボーイング創業の地としても知られています。まさにそのボーイングの工場を想起させるような、飛行機の先端部分、つまりパイロットが座るコックピットの模型がEBCの一角に大きく飾られていました。

コックピッドには、小さなタブレットがあり、そこでフライトプラン、機器のメンテナンス、気象、予備燃料などの要因のうち、どれが燃料効率に最も大きな影響を及ぼしているかをパイロットが正確に把握できるようになっていました。すべての情報はIoTデバイスからリアルタイムに反映され、安全で効率的な運転を支えていました。このすべてのプラットフォームがAzure上で構築されています。

※次回シアトルに行く機会があれば、せっかくなので今度はぜひボーイングの工場も行ってみたいなと思いました。

トヨタ自動車 AIを活用したIoT事例の紹介

トヨタ自動車では、車載通信機が装着した車から得られるさまざまなデータを集約・解析しています。人と繋がるプラットフォームとしての車の実現に向けたサービスを「Azure」上での構築を進めています。

運転者に対し、目的地までの最適なルート案内や、災害時の被害状況の配信、モバイル端末から空調をコントロールできるサービスの提供や、企業や自治体に対しては、車の走行データ活用するビックデータ解析交通情報サービス提供しています。


                                           
現在は、機械学習を用いて運転者の特性を学習、 コンシェルジュのように運転者の知りたい情報を提供するサービスも開発しているようです。 運転支援の他にも、例えば保険会社は運転情報をもとに最適な保険プランを提案できるようになったり、自治体は防災や物流の改善を図ることができるとして期待されています。

今回、一緒に参加したお客様は、Azure も AWS と同等にデジタルイノベーションで活用できる
と感心しておりました。

マイクロソフトの社内システムをオンプレから Azure に移行した事例

マイクロソフトでは自社システムの Azure移行作業を、最初はコンサルティング会社に依頼していましたが、基本的には社内の人材だけでプロジェクトを進めました。

もともとは 1000 以上のアプリケーションがありましたが、シンプルなインフラにしていくため、組織変更も含めて様々なアクションを繰り返し実施しています。
はじめは、ポートフォリオ全体を見て、IT とファイナンスの観点で解析し、システムの移行プランを考えました。その際には、ユーザー部門からもITの要件を決める専門チームに入ってもらい優先順位を一緒に考えていきました。

また、従来のウォーターフォール型ではなく、アジャイル型な開発手法に変革していくことで急な要件変更にも柔軟に対応できるような体制にて進めたそうです。


Azure 移行の方針に関しては、社⾧⇒CTO⇒各チーム、と明確な指示を落とすことで向かっている方向性を常に明確化させることを心掛けていました。
社内での反発もありましたが、会社としてやりたいことは明確であったため、反対する人にはその方向性を説明し、4年をかけて社内の文化を変革することに成功したそうです。

また、以前は4~5つのチームで同じことを実施し、競い合わせ、勝ったチームに報酬を与えていましたが、現在は同じことを他のチームがやらなくて済むよう、他のチームに対して自分たちがやったことを共有させるなど、様々な取り組みを行っています。
国際的な規制の関係でまだ完全にAzure移行は完了しておりませんが、もうすぐ完了する予定とのことでした。

マイクロソフト独自のフレームワーク
一気にクラウド移行するのではなく、上記のフレームワークに沿って分類し、段階的に実施。

マイクロソフトは大勢のエンジニアがおりますが、日本の一般的な企業ではIT人材の不足などもあり、なかなか自社だけでクラウド化を進めるのは難しいのではと思います。なので、弊社のようにAzure専門のエンジニアを抱えているパートナーが、しっかりとお客様をご支援し、社内の文化改革にも貢献できるようにならないといけないと改めて思いました。
なかなか、クラウド化を進められずジレンマを抱えているお客様向けの支援サービスなども拡充していきたいです。

Azure最新情報

マイクロソフトの著しい成長

マイクロソフトは時価総額過去20年間トップ5を維持しており、現在は Apple を抜いて1位になったほど成⾧が著しい企業になりました。
現在は、140か国以上、54のリージョンでAzureサービスを展開していますが、日本のエンタープライズ企業のクラウドへのシフトは全体の約20%ほどです。

Windows Server 2008 /SQL Server 2008 EOS への対応

マイクロソフトはWindowsSerever2008/ SQL Server 2008 EOS への早急な対応を進めています。
既存のオンプレで動いている 2008 を Azure におきかえるだけで、AWSへ移行するより5倍お得になる場合もあるので、アップデートの対応が間に合わない方は、応急措置としてAzure移行を検討してみるのも良いかもしれません。
Windows Server 2008 /R2・SQL Server 2008/R2のサポート終了(EOS) Azure移行なら無償でサポート延長

Azure Kubernetes Service(AKS)

ホストされている Kubernetes 環境を管理できるようになるサービスです。専門の知識がなくてもコンテナ化されたアプリケーションをAzureに簡単に素早くデプロイできます。ちなみに、今回の EBC に参加されていたお客様で Kubernetes を利用しているお客様はいらっしゃらなかったのですが、海外では主流となりつつあるサービスだそうです。

マイクロソフトのAI

マイクロソフトは AI の分野にかなり投資をしているそうです。具体的にいうと、営業を除き9,428 名もの人員が AI 部門の組織に所属しています。おそらくこれだけ多くの人数を AI にあてがえている会社は世界でも マイクロソフトくらいではないでしょうか。
そして、AIは日進月歩で進化しています。

従来の AI:事実の読み取り。”これは人です”、”これは犬です”
今の AI:共感感覚モデル。”わぁ、素敵な家族。お休みかな”

Microsoft Azure IP Advantage

知的財産の権利を保護してくれるプログラムとして、マイクロソフト が提供しているサービスです。Azure 上のサービスに対して特許訴訟された場合でも、正当性主張の根拠としてマイクロソフトが保有する10,000 の特許を利用することができます。
本サービスは、AWS や Google と比較しても優位にあります。

マイクロソフト データセンター見学

米国内某所のデータセンターを見学させていただきました。マイクロソフトのデータセンターは時代に応じて進化してきました。今回見学したものの一つに 1980 年台に建設されたデータセンターがありました。年月は経っていますが、なんと、日本の最新データセンターと同等のレベルです。しかし、規模感が圧倒的に違い、2日間持つ自家発電機や、独自で開発したネットワークカードを搭載したサーバ群がたくさん並んでおりました。

データセンター内イメージ。写真撮影はNG

想像をはるかに上回る規模の データセンターでしたが、少人数で効率的に運営しているそうです。
ただ設備の中に入るには、数名の警備員に全身チェックしてもらわなければ入館できず、セキュリティ体制は万全でした。

Office365,Dynamics,PowerBIなどが稼働しているインフラも設置されていたようでしたが、我々が入ったサーバールームの中では、どのサーバで何が動いているかまでは全く分かりませんでした。

Azure専用の施設も見学させていただきました。ホットアイルとコールドアイル、電力効率はかなり研究しており、いかに効率的にDCを設計するかに積極的に投資しているというお話も伺いました。

実は、ラックをよく眺めていると赤いランプがいくつか点灯して、おそらく問題が起きているのではないかと思われる箇所をいくつか見つけてしまいました。そこで、案内してくださっている方に、「これは障害ですか?」と質問してみたところ、「そうかもしれない。でも、一か所障害が起きたくらいではAzureは全くもって問題ない。HWの交換は、集中管理されていて、ある程度まとまって行う。ディスク一本壊れたくらいでは、逐一交換していたら効率が悪い。無駄な工数は徹底的に抑える。」と返ってきました。巨大なパブリッククラウドの世界を目の当たりにしました。

建設中の 最新のデータセンター も建物の外側から見学しました。最新のDCは建物間での冗長化を行い、拡張も建物ごと拡張していく設計です。建物での冗長化のため、大きな発電設備も最低限となっているのですが、冗長性が非常に高くなっています。

また現在、マイクロソフトが研究している次世代
データセンターは海中デンターセンターだと伺いました。これが解決するのは冷却の問題ではなく、利用者とデータセンターの距離です。現在のデータセンターは郊外型になり、ネットワークの遅延に対する対策が取りづらいのが現状です。今後のクラウド化や利用者の利便性を向上するために、利用者の近くにデータセンターを設置する必要があり、その解決策として海中データセンターが研究されているそうです。

イメージ図

マイクロソフトは各国にネットワーク回線を引き、他のクラウドサービスより圧倒的に強いバックボーンを持っています。従来、パートナーであった通信キャリアの機能も Azure のバックボーンで代用するサービスをすすめており、コンピューティングからネットワークまでオールインワンで提供できます。

今回データセンターを見学して、規模の経済が働くこの データセンターを利用しないのはもったいないと感じました。今後我々は、日本のお客様にも Azure の良さをお伝えできればと思います。
正直、私自身も Azure に対して多少得体の知れない不安なイメージを少し抱いていましたが、現物を見たら実際には、誰もが良く知るベンダーのサーバで構成されているのを目の当たりにし、普通のデータセンターと同じであるとわかり、不安は払しょくされました。

Azure Collaboration Center の見学

レドモンドの マイクロソフト 本社群の一つのビルに、“Azure Collaboration Center“と呼ばれる世界中にあるデータセンターの監視を行っているセンターがあります。巨大なモニターがある部屋に常時数名にて監視を行っていました。

異常があると巨大なモニターに表示されるようになっており、システムの異常だけでなく、Twitter などSNSでもキーワードを拾ってきており、そこからもサービス異常を検知できるようにしていました。
施設には、複数のエンジニアチームがおり、リアルタイムでトラブルシューティングを実施。データを活用し予測することで問題が起きるまえに解決するなど、先進的な取り組みを行っています。

所感

今回のマイクロソフト EBCツアー では、マイクロソフトの最新の情報を幅広く聞くことができました。総じて、マイクロソフトのスピード感の早さを感じました。数年前までは、Azure は AWS と機能面で大きく差があった印象ですが今は違います。マイクロソフトのビジョン“すべての人がより多くのことをできるように”を全うするため、社員一丸となってみな突き進んでいる印象を受けました。

お客様からの質問は、AWS との比較に関するものが多く、基本的にみなさん AWS も利用されているようです。クラウドの活用領域として大きく、「エンタープライズクラウド(企業の情報システムのクラウド化)」「デジタルイノベーションのためのクラウド」の2パターンがあります。エンタープライズクラウドに関しては Azure を選択する理由が多くあるのではと思います。マイクロソフトは他社よりも移行しやすいプログラムの提供、コスト的優位、機能的優位なポイントがあるためです。

「デジタルイノベーションのためのクラウド」では AWS, Azure, Google の選択肢があり、AWSが市場を先行し、多くの実績があります。ここに関しては Azureも 同じ程度の機能は提供できるようになっていますが、弊社としてはきちんと調査、検証をしてからお客様にご提案できれば良いと考えております。

この記事を書いた人

NE + Azure 編集部
NE + Azure 編集部
日商エレクトロニクス特設サイト「日商エレ+Azure」サイトマスターです。