クラウドVDIがわかる!
~メリット、注意点からサービス一覧まで解説~

クラウドVDI
※2023年12月6日更新

昨今、VDIやシンクライアントを、クラウドへリプレイスするケースが増えています。実際、弊社でもクラウドVDIについて情報を整理したいとよくご相談いただいております。
そこで本記事ではそのような方に向けて、クラウドVDIの概要、メリットや注意点の整理から、代表的な製品まで解説していきたいと思います!

【こんな方におススメ】

  • クラウドVDIについて情報収集している
  • クラウドVDIの全体像を知りたい
  • 代表的な製品を知り、それぞれについて調査を進めたい


1. そもそも、VDIとは?

まずはVDIについてのおさらいです。

VDI(ブイ ディー アイ)とは、「Virtual Desktop Infrastructure」の略で、日本語では仮想デスクトップと言います。クライアント端末の環境をサーバ上で「仮想化されたデスクトップ環境」として生成し、手元の物理PCからリモートで操作します。
ユーザ側から見るとあたかも手元のPC上で処理が行われているように見えますが、実際の処理はサーバー上にあるデスクトップ環境で行っており、手元の端末では処理結果をディスプレイで表示するだけとなっています。
ユーザは場所を選ばずに、あたかも会社のPCを使用しているかのように作業ができるようになります。

VDIは大きく、データセンター内にサーバやネットワーク機器を用意して実装するオンプレミス型と、クラウド上に実装するクラウド型の2種類に分類されます。

1-1. オンプレミスVDIとは

企業が自社のデータセンター内に物理的なサーバー群を設置し、それを利用してデスクトップ環境を仮想化する技術です。
オンプレVDIの利点は、物理的なアクセスとコントロールが可能であること、セキュリティポリシーを細かく設定できること、ネットワーク遅延を最小限に抑えられることです。
しかし、初期投資が大きくなることや、サーバーの運用・保守に専門的な知識が必要になるといったデメリットも存在します。

1-2. クラウドVDI(DaaS)とは

対してクラウドVDIは、クラウドサービスプロバイダーが提供するリモートサーバー上でユーザーのデスクトップ環境を仮想化し、インターネット越しに利用者に提供するサービスです。
このモデルでは、企業は自身で物理サーバーを購入・運用することなく、仮想デスクトップを利用できます。

では、次からクラウドVDIに焦点を当てて解説していきます。

2. クラウドVDIのメリット

2-1.メリット1:柔軟性が高い

クラウドVDIのメリットの1つは、柔軟性が高いことです。

クラウドベースのサービスは利用者の数や必要なリソースに応じて簡単にスケールアップやスケールダウンが可能であり、ビジネスの変動に柔軟に対応できるためです。

また、新しいユーザーを追加する場合も、クラウドプロバイダーが提供する管理コンソールを使用して数クリックで行えるため、IT部門の作業負担が軽減されます。

さらに、ユーザーはどのようなデバイスからでもアクセスできるため、リモートワークや外出先、異なるオフィス間での作業にも柔軟に対応することができます。これにより、企業は従業員に対して柔軟な働き方を提供し、生産性の向上を図ることが可能です。

クラウドVDIはまた、企業が物理的なハードウェアへの投資を減らすことができるため、コスト効率も向上します。従来のデスクトップ環境では、個々のPCやデバイスを購入して管理する必要がありましたが、クラウドVDIでは仮想デスクトップをクラウド上で提供するため、ユーザーごとに物理的な機器を用意する必要がなくなります。

2-2.メリット2: 初期投資が削減される

これは、物理的なサーバーやネットワーク機器、ストレージなどのITインフラを自社で用意する必要がないためです。

クラウドプロバイダーがインフラを提供し、企業は使用する分だけの料金を支払う従量課金制が一般的です。
その結果、自社データセンターの構築や運用にかかるコストが不要になり、大きなキャピタルエクスペンディチャー(CAPEX)の削減に繋がります。

また、専門のITスタッフを雇用するコストや、機器の保守・更新に伴う経費も抑えることができます。これにより、特に資金調達が困難な中小企業やスタートアップにとって、資源を効率的に活用しやすくなるという利点があります。

2-3.メリット3: 運用管理負荷が軽減する

クラウドプロバイダーがサーバーの保守管理やインフラのアップデート、障害対応を一手に担ってくれるため実現します。

従来のオンプレミス環境では、企業自身がこれらのタスクを行う必要がありましたが、クラウドVDIではこれらの運用作業が不要になるため、IT部門はより戦略的な業務に注力できるようになります。

加えて、クラウドVDIサービスは通常、セキュリティアップデートやパッチ管理もサービスプロバイダーが実施するため、セキュリティの維持が容易になります。これにより、エンドポイントのセキュリティ強化と共に、組織全体のセキュリティポスチャを向上させることができます。

また、ユーザーアカウントの管理やアクセス権限の設定などの日々の管理作業も、クラウドVDIでは中央管理されたコンソールから簡単に行うことができます。これは特に規模が大きい企業や多くのリモートユーザーを抱える組織にとって、管理作業の単純化と効率化をもたらします。

つまり、ITリソースを運用保守から解放し、企業がイノベーションやコアビジネスへの投資を加速させることを可能にします。

3. クラウドVDIのデメリット、注意点

3-1. ユーザのインターネット接続が前提

クラウドVDIの注意点の1つ目は、インターネット接続が前提という点です。クラウド上にホストされるVDIにアクセスするためには、インターネット経由での接続が不可欠だからです。

そのため、インターネット接続が不安定であったり、帯域幅が十分でない場合には、VDIのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。遅延や中断があると、ユーザーの作業効率が低下し、最悪の場合は業務に支障をきたすことも考えられます。

従って、安定したインターネット接続があることが望ましく、リモート地域や通信環境が整っていない場所では、よく検証を行ったうえで導入に進める必要があります。

3-2. 完全閉域網接続は難しい

クラウドとオンプレミスのデータセンター内を閉域接続することで通信を内部に閉じることは可能ですが、認証など一部の通信はインターネットを通ります。
そのため、特に金融機関や政府機関などセキュリティを極めて重視する組織においては特にご検討されてください。

とはいえ、通信は暗号化されていることがほとんどですので、よほど厳しい要件が無い限りは問題ないということも多いです。

実際、多くの金融、公共、政府機関様でクラウドVDIが導入されています。

4. クラウドVDIの利用形態

4-1. 配信方法

❶ アプリ配信

プリケーション配信は、ユーザーが必要なアプリケーションにアクセスできるようにする方法です。

これは、クラウド上のサーバーやデータセンターで実行されるアプリケーションをユーザーに提供するものであり、ユーザーは自身のデバイスを介してこれらのアプリケーションにアクセスします。アプリケーション配信は、ユーザーが必要なアプリケーションを効率的に利用できるようにし、管理や更新を簡素化することができます。

金融機関様で導入されていインターネット環境(web分離環境)などは、このアプリケーション配信を用いてブラウザのみ仮想化し論理的に分離するという手法を取られていることがほとんどです。

❷ デスクトップ配信

デスクトップ配信は、完全な仮想デスクトップ環境を提供するものです。

これは、ユーザーがデスクトップ環境全体(OS、アプリケーション、設定など)を仮想的に利用することを可能にします。ユーザーは自身のデバイスを介して仮想デスクトップにアクセスし、必要な作業やアプリケーションを実行することができます。デスクトップ配信は、従来の物理的なデスクトップ環境と同様の体験を提供するため、特に複雑な業務環境や特定の業務に特化した環境を必要とする場合に有用です。

例えば、リモートワーク時のBYODを利用するというシナリオや、開発環境をリモートで提供するというシナリオに合致します。

4-2. 仮想マシンの割り当て方式

❶ 専有型

占有型オンプレVDIでいう「仮想デスクトップ型」と同じようなもの(=仮想基盤までを共同利用する方式)です。
メリットはオンプレと同じく下記2点が挙げられます。

  • SBC型のようにアクセス集中や動作不良の影響が複数ユーザーに及ぶことが少ない
  • 基本的にはクライアントOSを利用するため、アプリケーションとの互換性が高い

オンプレVDIの仮想デスクトップ型とは異なり、DaaSでは特別なライセンスが必要になったり仮想基盤の管理が必要になったりしませんが、SBC型と比べるとランニング費用が高くなるという点がデメリットと言えます。

❷ 共有型(マルチセッション)

マルチセッションマルチセッションは、1台のWindows 10仮想マシンに複数人が接続する方式です。
1台の仮想マシンに複数ユーザが接続することができる上に、Windows 10というクライアントOSを利用できるため、利便性向上とコスト削減を同時に叶えることができます。
SBC型とVDI型のいいとこどりをしたようなイメージです。
しかし、この方式を使えるDaaSは限られており、後述する「Azure Virtual Desktop」のみが対応しています。
注意点としては、1台の仮想マシンに複数ユーザーが入るという仕様上、1人のユーザーが高負荷な業務を行うと同じ仮想マシンに入っている別のユーザーのパフォーマンスに影響するという点が挙げられます。

❸共有型(シングルセッション)

プール型1ユーザーにつき1台の仮想マシンが割り当てられるが、割り当てられる仮想マシンはランダム、という方式です。
「Aさんは[仮想マシンA]に必ず入る」という紐づけを行う占有型とは違い、同じ時間帯にVDIを利用するユーザー分仮想マシンを用意すればよいので、勤務形態によっては占有型よりもランニング費用を抑えることができます。
さらに、SBC方式やマルチセッションとは異なり、他のユーザーの動作に影響されないというメリットもあります。
ただし、マルチセッションより仮想マシンの台数が多くなることが多いため、その分ランニング費用が高くなります。

❹ SBC型

SBC型
アプリケーションをサーバーで実行して、そのアプリケーションをユーザー全員で同時に共有して使用する方法(=OS以下を複数ユーザで共有している状態)です。
デメリットもオンプレVDIと同じく、

  • アクセスが集中した場合やアプリケーションの動作不良が発生した場合にユーザー全体に悪影響を及ぼす可能性がある
  • ユーザごとに別のアプリケーションを自由にインストールすることができない
  • サーバOSでうまく動作しないアプリケーションがある

という点が挙げられます。

5. クラウドVDIのおすすめサービス5選

それでは、上記の様な特徴を持つクラウドVDIについて、具体的にどのような製品があるのか代表的なものを5つご紹介します。

5-1. Amazon Workspace

Amazon社が提供するDaaSです。Windows 10とLinuxのVDI環境を利用することができます。
特徴は、月額固定費用と従量課金を選べる点です。
注意点としては、Windows10が動くと前述で申し上げましたが、実は裏でWindows Serverが動いている「ネイティブなWindows10」ではないため、一部動かないアプリケーションがある、などが挙げられます。
Office365をお持ちの際は、そのまま持ち込めないため、改めてWorkSpacesにOfficeがバンドルされたイメージをマーケットプレイスで購入していただく必要があります。

▼参考記事
>>Amazon WorkSpacesとは|AWS 公式ページ

 

5-2. Azure Virtual Desktop (AVD)

AVDは、Microsoftが提供するクラウドVDI(DaaS)です。VDIに必要な管理コンポーネントのほとんどがMicrosoft Azure側で自動的に用意されます。
Windows 10 / 11、Windows ServerのVDI環境を利用することができます。

特徴としては、下記の4点が挙げられます。

  • マルチセッションでコスト削減できる
  • VDI上でも、制限なくOffice 365 を利用可能
  • すでに、Windows 10 Enterpriseライセンスを所有していれば、ライセンスの追加購入が不要
  • Microsoft 365 ソリューションとの連携が簡単

 

詳しくは下記のブログに記載していますので、チェックしてみてください!
>>Azure Virtual Desktop(AVD 旧 Windows Virtual Desktop)とは!MicrosoftのDaaSがついに公開︕︖

 

5-3. Windows 365(W365)

こちらも、マイクロソフト社のDaaSです。
AVDをさらにパッケージ化し、構築や運用を簡易化できるサービスで、「WindowsのSaaS化」と表されることもあります。
Windows 10もしくは11のVDI環境を利用することができます。

AVDと同じくマイクロソフトの1st-party製品なため、制限なくOffice 365 を利用可能でOffice 365がパフォーマンスよく動くこと、Microsoft 365 ソリューションとの連携が簡単という特徴があります。
AVDと異なる点は下記が挙げられます。

  • DaaSを「月額固定費用」で使うことができる
  • OS以下はマイクロソフト管理なため自社管理範囲が少なく、システム担当者の管理負荷が大幅軽減される
  • 占有型のみの提供で、マルチセッションは利用不可

ご興味お持ちの方は下記コンテンツもぜひご参考ください。
>>Windows 365 概要資料

5-4. Citrix DaaS* with AVD

*旧名称:Citrix DaaS、Citrix Virtual Apps and Desktops、Citrix Virtual Appsなど

MicrosoftとCitrixがコラボレーションしたDaaSです。
AVDで不足する管理部分を強化(細やかな電源管理機能やマスターイメージのシンプルな更新など)を実現できます。

また、ICAプロトコルが利用できる、Citrixポリシーで細かい制御が可能、というCitrix特有の技術も活用できます。
オンプレCitrixのライセンスからCitrix Cloudライセンスにアップグレードすることもできるので、オンプレCitrixのクラウド化をご検討中の方はぜひチェックしてみてください。
>>移行とトレードアップ(TTU)とハイブリッド権利

▼参考記事
>>Citrix Cloud with Azure Virtual Desktop(旧 Windows Virtual Desktop)のメリットとは?ズバッと解説!

 

 

 

5-5. Horizon Cloud with AVD

MicrosoftとVMwareがコラボレーションしたDaaSです。
Citrix DaaSと同じく、AVDで不足する管理部分を強化(細やかな電源管理機能やマスターイメージのシンプルな更新など)を実現できます。

通信プロトコルとしてPCoIPやBlastが利用できたり、シンプルな管理画面で管理がしやすいというVMware Horizonの利点をそのまま享受していただけます。

ポータル画面より、数クリックで仮想マシンの追加展開や変更ができるのも特徴の1つです。
Citrix Cloud と実現できることが似ていますが、比較すると、Citrixは細かい制御ができるサービス、 Horizonはシンプルな管理ができるサービス、というイメージです。

 

▼参考記事
>>待望の Horizon Cloud with AVD(旧 WVD – Windows Virtual Desktop) を試してみた!

 

6. クラウドVDIどう選ぶ?比較ポイント

おすすめのクラウドVDIのサービスの概要はなんとなく知っていただけましたでしょうか?
選び方はデータの置く場所をクラウドにするか、オンプレにするか、コストは固定か従量課金か、または既存の環境のナレッジを活かしたいか、などさまざまなポイントがあります。
以下の資料で比較ポイントをより詳しく解説しているのでぜひご活用ください。

\  マイクロソフトVDIをまとめて比較! /

Azureで動くDaaS製品
徹底比較資料はこちら

7. 導入支援サービス

では、最後にこれらのクラウドVDIの導入をご検討される際、ぜひご活用いただきたいサービスをご紹介させていただきます。

7-1. マイクロソフトのクラウドVDIを試せるパッケージ

1つ目が、マイクロソフトVDIのPoCパッケージです。

前述でご紹介した、Azureで動作するVDI(AVD、Citrix DaaS、Horizon Cloud)の3つより自社にマッチした製品を選定、お得に検証できるパッケージです。

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7-2. AVDを試せるオンラインセミナー

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以上、いかがでしたでしょうか?

今回の内容が皆様のお役に立てましたら幸いです。

この記事を書いた人

Azure導入支援デスク 編集部
Azure導入支援デスク 編集部
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