日商エレクトロニクスのAzureエンジニア担当 渡邊です。

「ファイル共有を行うためにAzureを活用したい!」「既存ファイルサーバーをAzureに移行したい!」とご検討の方向けに、Azureで実現できる3つの機能についてご紹介していきます。第1回は紹介編ということで、IaaS、Azure Files、Azure File Syncのそれぞれの特長やメリットをご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。第2回では実際に構築をしてみた様子をまとめています。

※ここで紹介している内容は2022年11月時点のものです。Azureは常に変化しますので常に最新の情報を参照してください。

 

【連載】ファイル共有にAzureは使えるのか?の記事はこちら



1. IaaS 仮想マシンでファイル共有

一つ目として、AzureのIaaS上に仮想マシンを構築し、その仮想マシン上でファイルサーバーを運用する、という方法があります。オンプレで運用するファイルサーバーと同様の操作性で扱うことができ、運用や管理に関しても同様に行うことが可能です。そのため、VPN等でオンプレとAzureを接続することでオンプレADを用いたアクセス権限の管理も可能です。既存でオンプレ環境にファイルサーバーを構築している状態で、Azure上へリフトアンドシフトしたい、という場合にはこの方法が最適だと思います。

Azure IaaS 仮想マシン ファイルサーバー

1.1. メリット

Azure上でファイルサーバーを構築するメリットとしては以下があります。

  • ハードウェアメンテナンスが不要

Azureではオンプレミスで行っていたハードウェアのメンテナンスは全てMicrosoft側に任せることができるため、ユーザー側ではハードウェアに関するメンテナンスは一切不要です。そのため、ハードウェア故障を考えた設計をユーザー側で考える必要もありません。また、Azure上の仮想マシンにアタッチされた管理ディスクは標準で3重ミラーリングが行われており、実際にハードウェア故障が起きた場合でもデータが失われないように設計されています。

  • どの拠点からでも同一ファイルサーバーへのアクセスが容易

ファイルサーバーがオンプレ内ではなくクラウド上に存在しているため、点在する各拠点から接続することが可能です。VPNやExpressRouteなどを用いることで安全にアクセスが可能であり、オンプレと変わらない利用が可能です。また、オフィスの移転などの拠点移動のたびに大量のデータを移行する必要もなくなります。

  • ディスク増設が簡単

仮想マシンへのディスクを追加するのに再起動を伴わずに行えるため、ファイルサーバーを停止せずに最大で256TiBまで容量を増やすことが可能です。

  • バックアップ・リストアが簡単

Azure Backupにより仮想マシンとデータディスクを丸々バックアップでき、リストアも仮想マシンとデータディスクを丸ごと戻すことができます。

  • ライセンス管理が不要

オンプレでWindowsのファイルサーバーを運用するためにはWindows ServerのライセンスやCALが必要になり、これらを管理する必要があります。Azureではこれらのライセンス費用は使用料金に含まれるため、別途ライセンスを管理する必要がなくなります。

 

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2.Azure Filesでファイル共有

二つ目の方法としてPaaSのAzure Filesがあります。Azure FilesはAzure上で提供されるファイル共有サービスです。OSに限定されることなくインターネット経由でどこからでも同時アクセスが可能です。また、ファイル共有でよく使用されているSMB(Server Message Block)プロトコルを使用しているため、オンプレファイルサーバーから移行する際もアプリケーションの互換性を気にする必要がないのも特徴です。

 

Azure Files

2.1.メリット

Azure Filesを用いたファイル共有では以下のメリットがあります。

  • ハードウェアやOSのメンテナンスが不要

Azureのポータル上から操作を行うため、仮想マシンを必要としません。そのため、ハードウェアやOSのメンテナンスは一切なくなります。また、ストレージはストレージアカウントを使用するため、高い可用性が保証されています。

  • どこからでも接続可能

Azure上にあるためネットワークが接続されていればどこからでも接続することができます。

  • 容量が自由に設定可能

Azure Filesは一つのファイル共有あたり最大 100 TiB の容量、10 K の IOPS、300 MiB/秒のスループットがサポートされるようになりました。

  • バックアップ・リストアが簡単

Azure Filesのバックアップには共有スナップショットとAzure Backupを使用します。
共有スナップショットはスナップショット作成時点のファイル共有の状態をキャプチャします。これにより、スナップショット取得後の誤った変更もスナップショット時点の状態に戻すことが可能です。スナップショットの取得はファイル共有単位で行いますが、リストアはスナップショット内の任意のファイル単位で可能であり、管理者だけでなくユーザー側でも以前の状態に戻すことが可能です。最大200個までスナップショットを保持可能です。
Azure Backupは前述の共有スナップショットを自動化するものです。共有スナップショットはその都度手動で作成する必要がありますが、その煩雑さをAzure Backupのスケジュール機能を利用して自動化しています。バックアップの単位はAzure Filesファイル共有の単位で作成され、リストアはファイル共有全体またはファイル単位で可能です。Recovery Servicesコンテナー1つにつき、最大で200個(50個/1日)のストレージアカウントから最大2000個(200個/1日)Azure Filesファイル共有をAzure Backupで保護できます。現状プレビューのため以下のような制約があります。

・スケジュールバックアップの上限は1日6回
・オンデマンドバックアップの上限は1日10回
・リストアの上限は1日10回
・ILR (項目レベルの回復) の場合のリストアあたりの個々のファイルまたはフォルダーの上限は99個

まだプレビュー段階でありGAされた際にこれらの制約が変更される可能性もありますので、GAされた際には確認してみてください。

2.2.料金体系

Azure Files には、プロビジョニングと従量課金制という 2 つの課金モデルがあります。また、ストレージ容量の予約を事前に行うことで割引が適用されます。 負荷がかかる業務ワークロードや開発/テスト用ワークロードでは、容量の事前予約をすることでランニングコストを抑えることが可能です。

①プロビジョニングモデル( Premium ファイル共有)

FileStorage ストレージ アカウントの種類でデプロイされたファイル共有です。一定のストレージ容量がある Azure ファイル共有をプロビジョニングした場合に、そのストレージ容量を使用するかどうかに関係なく、そのストレージ容量に対して支払いを行います。

②従量課金制モデル(Standard ファイル共有)

Standard ファイル共有は、汎用バージョン 2 (GPv2) ストレージ アカウントの種類でデプロイされたファイル共有です。支払う金額は、プロビジョニングされた量ではなく、実際に使用する量によって決まります。 将来の成長、パフォーマンスの要件に合わせられるのでコスト効率を高めることができます。

※料金体系は変更される可能性があります。最新の情報はAzure Filesの料金を参照してください。

実際にコストをシミュレーションしてみたい方は弊社にて診断サービスがございますので、ぜひAzure適正チェックも含めご相談ください。

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3.Azure File Syncでファイル共有

三つ目の方法はAzure File Syncです。Azure File Syncは1つ以上のオンプレWindowsサーバー上のフォルダや共有フォルダとAzure Filesファイル共有を同期し、どこからでも同じファイルを扱うことができるサービスです。上記でご紹介したAzure Files とセットで利用することが前提となります。

 

Azure File Sync

3.1.メリット

Azure File Syncはファイルサーバー(オンプレ、クラウドを含む)とAzure Filesを同期します。このサービスの特徴として以下があります。

  • マルチサイトアクセス

1つのAzure Filesファイル共有を複数のWindowsファイルサーバーと同期させることが可能です。これにより複数の拠点で同一のファイルを扱うことが可能となります。従来だとDFSレプリケーションを用いて実現していましたが、これと置き換えることが可能です。

  • クラウドの階層化

物理のWindowsサーバーで増設などが容易でない場合もあるかと思います。そのような場合にファイルの実態をAzure Files上にのみ持って置き、サーバー側にはポインターのみを配置するということが可能です。これにより、実際のWindowsサーバー内のディスク容量を節約することが可能であり、ユーザー側ではファイルの場所は意識せずに使用可能です。

  • Azure Backupとの統合

仕組み上Azure Filesのファイル共有を使用しているためAzure Backup(前述の通り現在はプレビュー)を用いたバックアップが可能です。Azure上のデータをバックアップするため、同期先のWindowsサーバーや社内のネットワークなどに負荷をかけることなくバックアップをとれます。

  • 高速ディザスタリカバリー

同期を行うオンプレ上のWindowsサーバーで障害が発生した場合にデータはAzure上に同期されているため失われることはありません。この場合、バックアップからリストアして復旧することもできますが、新たなWindowsサーバーを用意してAzure File Syncと同期させることでより高速に復旧させることが可能となっています。

3.2.コンポーネント

Azure File SyncはAzure Filesファイル共有とWindowsサーバー(同期サーバー)で構成されており、同期を行うにはWindowsサーバーに対してエージェントのインストールが必要となります。現在のサポート状況は以下となっています。

同期サーバー SKU デプロイオプション
Windows Server 2022 Azure, Datacenter, Standard, and IoT Full and Core
Windows Server 2019 Datacenter, Standard, and IoT Full and Core
Windows Server 2016 Datacenter, Standard, and Storage Server Full and Core
Windows Server 2012 R2 Datacenter, Standard, and Storage Server Full and Core

3.3.料金体系

Azure File Sync サービスのコストは、Azure ファイル共有 に接続するサーバー数に加えて、Azure Files の基本的なコスト (ストレージコストとアクセスコストを含む)、送信データ転送によって決まります。

  • Azure Files

Azure上ではAzure Filesのファイル共有を使用するため前述の料金が発生します。

  • 送信データ転送

Azureからオンプレにデータを転送した際に料金が発生します。

  • 同期サーバー

同期サーバー1台につき¥1,058/月がかかります。

今回はファイル共有をしたいという要望に対してAzureはどのように活用できるのか、ということを簡単に紹介しました。次回の第2回では今回紹介した機能を実際に構築し、より詳細な情報をお伝えしますのでこちらもチェックしてみてください!

第2回構築編はこちら>>>

 

Azure FilesとAzure File Syncについては資料でも解説していますのでご興味ある方はこちらもあわせてご参照ください。

Azure Files / Azure File Sync
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この記事を書いた人

渡邊真悟
渡邊真悟
オンプレエンジニアとして活動するはずが、弊社Azure立ち上げを担い、気が付いたらクラウドエンジニアとなっていました。
新しいことに取り組むのが苦手だった自分を変え、常に最新の情報を取り入れられるように日々奮闘しています。
Azure Virtual DesktopやAzure Filesなど、IaaS/PaaS領域の機能検証や、Microsoft 365などのSaaS範囲まで組み合わせた情報をお伝えしていきます。
こんな検証ができないか、等ありましたら是非ご連絡ください!