日商エレクトロニクスのAzureエンジニア担当 渡邊です。
今回は2回に分けて、ファイル共有を行うのにAzureをどのように活用することができるのか、というのをご紹介します。第1回は紹介編ということで、「ファイル共有をしたい!」という要望に対してAzureのどの機能を活用することができるのかを紹介します。
※ここで紹介している内容は2018年11月時点のものです。Azureは常に変化しますので常に最新の情報を参照してください。

 

【連載】ファイル共有にAzureは使えるのか?の記事はこちら



1. IaaS 仮想マシン

一つ目として、AzureのIaaS上に仮想マシンを構築し、その仮想マシン上でファイルサーバーを運用する、という方法があります。オンプレで運用するファイルサーバーと同様の操作性で扱うことができ、運用や管理に関しても同様に行うことが可能です。そのため、VPN等でオンプレとAzureを接続することでオンプレADを用いたアクセス権限の管理も可能です。既存でオンプレ環境にファイルサーバーを構築している状態で、Azure上へリフトアンドシフトしたい、という場合にはこの方法が最適だと思います。

1.1. メリット

Azure上でファイルサーバーを構築するメリットとしては以下があります。

  • ハードウェアメンテナンスが不要

Azureではオンプレミスで行っていたハードウェアのメンテナンスは全てMicrosoft側に任せることができるため、ユーザー側ではハードウェアに関するメンテナンスは一切不要です。そのため、ハードウェア故障を考えた設計をユーザー側で考える必要もありません。また、Azure上の仮想マシンにアタッチされた管理ディスクは標準で3重ミラーリングが行われており、実際にハードウェア故障が起きた場合でもデータが失われないように設計されています。

  • どの拠点からでも同一ファイルサーバーへのアクセスが容易

ファイルサーバーがオンプレ内ではなくクラウド上に存在しているため、点在する各拠点から接続することが可能です。VPNやExpressRouteなどを用いることで安全にアクセスが可能であり、オンプレと変わらない利用が可能です。また、オフィスの移転などの拠点移動のたびに大量のデータを移行する必要もなくなります。

  • ディスク増設が簡単

仮想マシンへのディスクを追加するのに再起動を伴わずに行えるため、ファイルサーバーを停止せずに最大で256TiBまで容量を増やすことが可能です。
※現在プレビューで2PiBまで増設可能です。

  • バックアップ・リストアが簡単

Azure Backupにより仮想マシンとデータディスクを丸々バックアップでき、リストアも仮想マシンとデータディスクを丸ごと戻すことができます。

  • ライセンス管理が不要

オンプレでWindowsのファイルサーバーを運用するためにはWindows ServerのライセンスやCALが必要になり、これらを管理する必要があります。Azureではこれらのライセンス費用は使用料金に含まれるため、別途ライセンスを管理する必要がなくなります。

AzureにIaaS上にファイルサーバーを立てるパターンに関しては、詳細を資料でもご確認いただけます!

 


2.Azure Files

二つ目の方法としてAzure Filesがあります。Azure FilesはAzure上で提供されるファイル共有サービスです。OSに限定されることなくインターネット経由でどこからでも同時アクセスが可能です。また、ファイル共有でよく使用されているSMB(Server Message Block)プロトコルを使用しているため、オンプレファイルサーバーから移行する際もアプリケーションの互換性を気にする必要がないのも特徴です。

 

2.1.メリット

Azure Filesを用いたファイル共有では以下のメリットがあります。

  • ハードウェアやOSのメンテナンスが不要

Azureのポータル上から操作を行うため、仮想マシンを必要としません。そのため、ハードウェアやOSのメンテナンスは一切なくなります。また、ストレージはストレージアカウントを使用するため、高い可用性が保証されています。

  • どこからでも接続可能

Azure上にあるためネットワークが接続されていればどこからでも接続することができます。

  • 容量が自由に設定可能

Azure Filesは一つのファイル共有あたり5TiB(現状プレビューで100TiB)まで設定可能です。

  • バックアップ・リストアが簡単

Azure Filesのバックアップには共有スナップショットとAzure Backup(現在プレビュー)を使用します。
共有スナップショットはスナップショット作成時点のファイル共有の状態をキャプチャします。これにより、スナップショット取得後の誤った変更もスナップショット時点の状態に戻すことが可能です。スナップショットの取得はファイル共有単位で行いますが、リストアはスナップショット内の任意のファイル単位で可能であり、管理者だけでなくユーザー側でも以前の状態に戻すことが可能です。最大200個までスナップショットを保持可能です。
Azure Backupは前述の共有スナップショットを自動化するものです。共有スナップショットはその都度手動で作成する必要がありますが、その煩雑さをAzure Backupのスケジュール機能を利用して自動化しています。バックアップの単位はAzure Filesファイル共有の単位で作成され、リストアはファイル共有全体またはファイル単位で可能です。Recovery Servicesコンテナー1つにつき、最大で50個のストレージアカウントから最大200個Azure Filesファイル共有をAzure Backupで保護できます。現状プレビューのため以下のような制約があります。

・RA-GRSでは利用不可
・vNetまたはファイアウォールが有効になっているストレージアカウントでは利用不可
・PowerShellまたはCLIによるAzureファイル共有の操作は不可
・スケジュールバックアップの上限は1日1回
・オンデマンドバックアップの上限は1日4回
・ストレージアカウントに対してリソースロックを使用する
・Azure Backupにより作成されたスナップショットは手動による削除は不可※自動で古いものから削除されます。

まだプレビュー段階でありGAされた際にこれらの制約が変更される可能性もありますので、GAされた際には確認してみてください。

2.2.料金体系

Azure Filesの料金体系は以下の通りです。
※変更される可能性があります。最新の情報はAzure Filesの料金を参照してください。

LRS ZRS GRS
保存データ量(Standard) ¥6.72/GB ¥8.40/GB ¥11.20/GB
操作(Put, Create Container) ¥1.68/10000回 ¥2.10/10000回 ¥3.36/10000回
操作(List) ¥1.68/10000回
操作(Deleteを除くその他) ¥0.17/10000回
Geoレプリケーションデータ転送 該当なし ¥10.08/GB

3.Azure File Sync

三つ目の方法はAzure File Syncです。Azure File SyncはWindowsサーバー上のフォルダや共有フォルダをAzure Filesファイル共有と同期し、どこからでも同じファイルを扱うことができるサービスです。

 

3.1.特徴

Azure File Syncはファイルサーバー(オンプレ、クラウドを含む)とAzure Filesを同期します。このサービスの特徴として以下があります。

  • マルチサイトアクセス

1つのAzure Filesファイル共有を複数のWindowsファイルサーバーと同期させることが可能です。これにより複数の拠点で同一のファイルを扱うことが可能となります。従来だとDFSレプリケーションを用いて実現していましたが、これと置き換えることが可能です。

  • クラウドの階層化

物理のWindowsサーバーで増設などが容易でない場合もあるかと思います。そのような場合にファイルの実態をAzure Files上にのみ持って置き、サーバー側にはポインターのみを配置するということが可能です。これにより、実際のWindowsサーバー内のディスク容量を節約することが可能であり、ユーザー側ではファイルの場所は意識せずに使用可能です。

  • Azure Backupとの統合

仕組み上Azure Filesのファイル共有を使用しているためAzure Backup(前述の通り現在はプレビュー)を用いたバックアップが可能です。Azure上のデータをバックアップするため、同期先のWindowsサーバーや社内のネットワークなどに負荷をかけることなくバックアップをとれます。

  • 高速ディザスタリカバリー

同期を行うオンプレ上のWindowsサーバーで障害が発生した場合にデータはAzure上に同期されているため失われることはありません。この場合、バックアップからリストアして復旧することもできますが、新たなWindowsサーバーを用意してAzure File Syncと同期させることでより高速に復旧させることが可能となっています。

3.2.コンポーネント

Azure File SyncはAzure Filesファイル共有とWindowsサーバー(同期サーバー)で構成されており、同期を行うにはWindowsサーバーに対してエージェントのインストールが必要となります。現在のサポート状況は以下となっています。

同期サーバー SKU デプロイオプション
Windows Server 2012 R2 Standard, Datacenter フルのみ
Windows Server 2016 Standard, Datacenter フルのみ
Windows Server 2019 Standard, Datacenter フルのみ
Windows Server 2012 以前,
Linux, NASデバイス,
Windows Storage Server
サポート対象外

3.3.料金体系

Azure File Syncでは以下の料金が発生します。

  • Azure Files

Azure上ではAzure Filesのファイル共有を使用するため前述の料金が発生します。

  • 送信データ転送

Azureからオンプレにデータを転送した際に料金が発生します。

  • 同期サーバー

同期サーバー1台につき560円/月がかかります。

今回はファイル共有をしたいという要望に対してAzureはどのように活用できるのか、ということを簡単に紹介しました。次回の第2回では今回紹介した機能を実際に構築し、より詳細な情報をお伝えしようと思います。

この記事を書いた人

渡邊真悟
渡邊真悟
オンプレエンジニアとして活動するはずが、気が付いたらクラウドに飲み込まれていたエンジニア
新しいことに取り組むのが苦手だった自分を変え、常に最新の情報を取り入れられるように日々奮闘しています。
Azureの機能検証や、Azure Stackも担当していることからハイブリッド環境の検証もお届け出来ればと思っています。
こんな検証ができないか、等ありましたら是非当社までご連絡ください!