Azure Virtual DesktopとAmazon WorkSpaces はどちらがお得?

2022年10月11日更新

働き方改革の波やCOVID-19の影響で、多くの企業様がリモートワークを取り入れ始めています。
その中で安全かつ快適なリモートワークが簡単に実現できるDaaSをご検討中の方が多くいらっしゃいます。

DaaSといえばMicrosoftのAzure Virtual Desktop(AVD)かAmazonのWorkSpaces が代表的な製品ですが、よりお得に利用できる方を選択したいですよね。

すでにAWSをお使いでDirect Connectを引いている、という企業様ですとトータルコストを考えてWorkSpaces にしよう!と判断される企業様も少なくありません。

しかし、もう少しじっくり積算したほうが良いかもしれません…!

実は、WindowsクライアントライセンスとVDAライセンスに注目すると、新たにExpressRouteを引いたとしても、AVDを選択した方がコストを下がられるケースが多いのです。

今回は、Windowsライセンスの考え方を中心に、AVDとWorkSpaces の費用・料金の考え方を整理していきます。
さらに、既にAWSの専用回線(Direct Connect)を既に持っている場合にはどちらがお得になるのかコストシミュレーションも行いますので、ぜひ最後までご覧くださいね。


こんな人におススメ

  • DaaSで必要な費用の考え方を整理したい方
  • DaaS導入を検討中で、AVDとWorkSpaces のどちらがお得になるのか知りたい方
  • クラウド上でのWindowsライセンスの考え方を知りたい方

1. DaaSでかかる料金の考え方をおさらい

DaaSの費用

まずは、AzureやAWSなどの、パブリッククラウドで提供されるDaaSに必要な費用をおさらいしましょう。

本記事では、項目は大きく5つに分けて解説していきます。

  1. クラウドで稼働するリソース料金
  2. Windows クライアントライセンス料金
  3. Officeライセンス料金
  4. 回線費用
  5. 運用費用

① クラウドで稼働するリソース料金

DaaSは、クラウド上にVDIに必要なリソースを建てて使用しますので、その分の費用が必要です。
製品や構成によりますが、VDI環境を構築する仮想マシン、プロファイル用サーバ、認証用サーバなどをクラウド上に構築します。
AVDは、月額で稼働させた分だけの請求される従量課金制が基本、WorkSpaces は従量課金制と月額固定制の2種類から選択できます。

② Windows クライアントライセンス

クラウド上のVDI環境にリモート接続する際に必要となるライセンスです。
こちらは、月額で固定の金額となります。
※必要なライセンスについては次の章で解説します。

③ Officeライセンス費用

DaaS上でOfficeアプリを利用する場合は、既定のライセンスが必要です。
AVDの場合はMicrosoft 365 Apps for enterprise / Microsoft 365 Business Premium / Office 365 E3 / Office 365 E5を契約(すでに所有していれば持ち込み)する、WorkSpaces の場合はOfficeがバンドルされたモデルを契約することで利用が可能です。

※AVDに持ち込めるライセンスについてはこちらをご覧ください。

④ 回線費用

オンプレミスにあるデータセンタとパブリッククラウドを接続する際に必要です。
VPN接続か専用線を選べます。
AVDで専用線(ExpressRoute、略してER)を利用する場合は、Azureに構成するER Gatewayの利用料、ER利用料、回線利用料の3つで構成されます。

オンプレミスにサーバが無いなど、オンプレ・クラウド間での通信をしない際は不要です。

⑤ 保守・運用費用

自社で運用するか、運用事業者に依頼するか選択します。
運用事業者によって費用やサービス内容は様々です。
<ご参考>
日商エレクトロニクスの選べる保守・運用メニューはこちら
無償~月額40万円の中でお選びいただけますので、自社に必要な部分を適切なコストでアウトソースできます。

これらの観点から比較表にまとめると下記のようになります。

比較表

Microsoft AVD Amazon Workspace(専有ホスト)
仮想マシン費用 従量課金制
料金シミュレーションはこちら
従業課金制と月額固定制で選べる
詳しくはこちら
Windows
クライアントライセンス
Windows E3以上(ユーザーライセンス):
月額760円~
VDA E3以上(ユーザーライセンス):
月額1,470円~
Officeライセンス費用 Microsoft 365 Apps for enterprise
・所有しているOffice 365 ProPlusライセンスを流用可能
・新規購入の場合、1ユーザ当たり月額:1,300円(スイート等により費用圧縮可)
・サービスプロバイダー事業者により価格が異なる
・Amazon WorkspacesのOfficeバインドオプションの場合:月額15ドル
回線費用 回線会社により異なる 回線会社により異なる
運用費用 自社もしくは運用事業者により異なる
日商エレの場合は保守+DaaS運用で50万円/月~
自社、運用事業者により異なる

2. Windowsライセンスの考え方

Windowsライセンス

続いて、今回の費用比較のポイントとなるWindows ライセンスの考え方をご紹介します。

まず前提ですが、Windows 10や11といったクライアントOSをDaaSで使う際、AVDは特に注意点はありませんが、WorkSpaces の場合は「専有ホスト」という形式での利用となります。
これは、Amazonのデータセンタにある物理機器を1つ丸々貸切る、という利用方法です。リージョン毎に100 以上のWorkSpaces を稼働させる費用があります。

ライセンスについてですが、通常、WorkSpaces  含むVDIではWindows クライアントOSに対してリモート接続するための“ VDAライセンス ”が必要です。
このVDAライセンスは、後ほど解説しますが一般的なWindowsライセンスの「Windows 10/11 Enterprise E3」に比べて高いです。

しかしAVDの場合は、接続元の端末(手元のPC)がWindows proの場合はWindows10/11 Enterprise E3を持っていればOKです。
つまり、Workspaceを利用するよりも安いライセンスで利用できるのです。

 

Microsoft AVD Amazon WorkSpaces
共有ホスト Windows Enterprise E3 / E5
Windows VDA E3 / E5
NG
※サーバOSなら運用可
専有ホスト Windows VDA E3 / E5 Windows VDA E3 / E5

3. “AVD 対 WorkSpaces “ お得なのはどっち?コストシミュレーションしてみた

コストシミュレーション

では、冒頭に述べました「既にAWSの専用回線(Direct Connect)を既に持っている」場合についてコストシミュレーションをしてみます。

もちろん小規模ですと、新しく引いて毎月のコストのことを考えると既に持っている回線を利用したほうが良いですが、ある程度ユーザ数を見込むのであれば、そんなことはなくなってきます。
なので、今回は「何ユーザぐらいからその効果が出てくるのか」という観点でシミュレーションしていきます。

比較前提条件

● Microsoft AzureのDaaS「Azure Virtual Desktop (AVD)」とAmazon AWSのDaaS「Workspaces」で比較する

● 前項の以下については同額で費用がかかると仮定(厳密にはそうはいきませんが)
・仮想マシン費用
・管理プレーン費用
・運用費用

● Microsoft 365は使わない

この場合、クライアントライセンスの考え方は以下のとおりです。

Azure Virtual Desktop(AVD):Windows 10 Enterprise E3(¥760/月)が必要
Workspace:Windows 10 VDA E3(¥1,430/月)が必要
⇒Windows 10 Enterprise E3 とWindows VDA の差額は670円/月

また、ご参考までに当社でご案内できるExpress Routeサービス(500Mbps)は月372,000円です。
⇒Express Routeの372,000円を670円で割ると555ユーザ

つまり、
556ユーザ以上の場合は、既に専用回線を持っていたとしてもMicrosoftのAzure Virtual Desktopを利用した方が安くなりますね。

以下の様な計算です。

  • AVDのクライアントライセンス+ER構築:760円 × 556ユーザ + 372,000円 = 794,560円
  • Workspaceのクライアントライセンス:1,430円 × 556ユーザ = 795,080円

最後に

以上、Windowsのクライアントライセンスに注目して費用の考え方を整理してきましたが、いかがでしたでしょうか。

もちろん、AzureとAWSはそもそもの利用料が違いますし、専用回線も帯域や回線事業者様ごとに金額設定が異なります。さらに、その他の運用コスト等もきっちり考慮する必要がありますので、クライアントライセンスのみの比較は厳密には正確ではありません。
しかし、DaaSご検討時には、単純に「専用線がすでにあるから」という考え方だと損をしてしまう可能性がありますので、ぜひご認識いただけたら幸いです。

とはいえ、まだよくわからない、本当に必要なものは他に何があるの?ほんとうの意味でのトータルコストは結局いくら??実際の操作感は?などなど不安やお悩みは尽きないかと思います。
日商エレクトロニクスでは、DaaSに関していつでもご相談を受け付けておりますので、些細なことでもお気軽にご相談ください!

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今後もお役立ていただける内容を更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。